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» 2012年02月28日 21時40分 公開

LED電球を駆動するフライバックコンバータの有用性既存光源からの置き換えを進める原動力(3/4 ページ)

[Peter B. Green(International Rectifier),EDN]

力率向上とLED電流の安定化

 LED照明を対象にした規格の整備が進むと、電源回路の力率向上といった環境配慮に関する要求も出てくる。フライバックLEDドライバが達成可能な力率は、コストおよびサイズを大幅に増加させるプリレギュレータを使用しない受動回路構成で約0.9となっている。

 力率を高める手法は2つある、1つは、フライバックコンバータへの入力に用いる全波整流のDC電源ラインに、高周波カップリング(フィルタ)用の小容量コンデンサを1個追加するというものだ。もう1つは、2個のコンデンサと3個のダイオードで構成する受動型のバレイフィル(Valley-Fill)回路を追加する手法である(図3)。1つ目の手法は低コストで済むものの、2次側回路に組み込むコンデンサの容量を大きくして、AC電源ラインの電圧波形が0を横切る際(Zero Crossing)には、LED素子に印加する電流(LED電流)が落ち込まないようにする必要がある。このため、LED電流が350mA以下の場合にしか利用できない。一方、2つ目の手法は、1つ目の手法より高コストだが、LED電流に関する制限はない。


図3 フライバックLEDドライバの力率を高めるための付加回路 図3 フライバックLEDドライバの力率を高めるための付加回路 ここでは、2個のコンデンサと3個のダイオードで構成する受動型のバレイフィル回路を追加している。

 次に重要な課題は、LED電流の安定化である。LED電流を安定化するには、2次側回路にLED電圧とLED電流を検出する回路を組み込んで、検出信号をフォトアイソレータを介して1次側回路の制御ICにフィードバックするという手法がある。この代わりに、LED電圧やLED電流を直接検出せずに、MOSFETに流れる1次側回路のピーク電流を安定化する手法もある。また、1次側回路で電流や電圧を検出する回路を導入して、電流安定化や過電圧保護を行う手法も考えられる。これらのような1次回路側での対応であれば、フォトアイソレータを使用する必要はない。

 2次側回路に電圧/電流検出回路を設けるのが、最も高い精度でLED電流を安定化できる手法である。しかし、フォトアイソレータや、出力の検出や安定化のための回路が必要になるので、製品サイズとコストに影響を与える。これに対して、1次側回路のMOSFETに流れるピーク電流を安定化する手法は、部品点数を大幅に減らせるものの精度は下がる。とはいえ、一定範囲内のAC電源ラインの電圧およびLED電圧に対しては、LED電流の設定をある程度のレベルで正確に設定できる。この手法は、コスト低減が必要な場合には有用ではあるが、開放(オープン)状態なった回路に対する保護ができないのが欠点だ。例えば、直列で接続しているLED素子のうち1個が故障して開放状態になると、フライバックコンバータの出力電圧は、インダクタに蓄積されたエネルギーが放電されるまで上昇が続くので極めて高くなる。

 最近になって多くのICベンダーが提供するようになったのが、1次側回路の電圧/電流を検出する機能や、アルゴリズムを利用して出力電流を制御する機能を搭載する、“スマートな”フライバックコンバータの制御ICである。このような制御ICを利用したフライバックLEDドライバは、入力電圧が変動する場合でも安定した電流を出力できる。しかし、LED電圧は制御できないので駆動可能なLED素子の数があらかじめ決まっている。また、回路の開放状態を検出する機能を備える制御ICもあるが、それらは出力電圧の上限が制限されている。制御ICを用いる手法は、先述した1次側回路のMOSFETに流れるピーク電流を制御する手法と比べて高い精度が得られるものの、2次側回路に電圧/電流検出回路とフォトアイソレータを組み込む手法よりも精度は劣る。

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