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63GHzの超広帯域リアルタイムオシロ、ノイズとジッタも業界最小をうたうアジレント DSOX 90000Q

アジレント・テクノロジーのDSOX 90000Qシリーズは帯域幅が最大63GHzと極めて広いリアルタイムサンプリングのデジタルオシロスコープ。32Gビット/秒の高速シリアル信号を、基本波である16GHzの3次高調波まで取り込んで、高い精度で波形を観測できる。

» 2012年04月11日 16時54分 公開
[薩川格広,EDN Japan]

 アジレント・テクノロジーは2012年4月、周波数帯域幅(入力信号の−3dB帯域幅)が最大63GHzと極めて広い、リアルタイムサンプリングのデジタルオシロスコープ「Agilent DSOX 90000Qシリーズ」を発売した。「Infiniium(インフィニウム)」ブランドで展開している製品群の最上位シリーズに位置付ける。従来の最上位機「同90000 Xシリーズ」で最大33GHzだった帯域幅を2倍近くまで広げた。28Gビット/秒や32Gビット/秒の高速シリアルデータを扱い、40G/100Gビット/秒のデータ伝送速度に対応する光通信機器や、16Gビット/秒のPCI Express Gen4を組み込むシステムの開発に向ける。同様の用途に向けた広帯域オシロスコープとしては、Lecroyが2012年1月に60GHz機を発売していた。

図1 出典:アジレント・テクノロジー (クリックで画像を拡大)

 最大帯域幅が20GHz、25GHz、33GHz、50GHz、63GHzと異なる5機種を用意した。50GHz機と63GHz機については、最大帯域幅が得られるのは同時使用チャネル数が2チャネル以下の場合である。3〜4チャネル同時使用時はいずれも33GHzにとどまる。

 63GHz機「DSOX96204Q」の主な特性は以下の通り。サンプリング速度は、同時使用チャネル数が2チャネル以下の場合に最大160Gサンプル/秒、3〜4チャネル同時使用時に最大80Gサンプル/秒。波形メモリの容量は標準20Mポイント。オプションで最大2Gポイントまで拡張できる。ノイズフロアは50mV/目盛設定時に4.4mV、ジッタフロアは75fs(フェムト秒)未満だという。いずれも「業界最小だ」(アジレント・テクノロジー)と主張する。価格は、5217万8856円(2012年4月11日時点の税別参考価格)。2012年7月に一部の顧客に向けて出荷を開始する。

図4 90000Qシリーズの主な仕様である。 (クリックで画像を拡大)

 さらに、前述の5機種それぞれにジッタ解析やシリアルデータ解析の機能を追加した機種も「DSAX 90000Qシリーズ」として用意した。価格は、例えば63GHz機が5442万470円である。

2012年4月11日に東京都内で記者発表会を開催した。左はアジレント・テクノロジー代表取締役社長の梅島正明氏、右は米Agilent Technologiesでオシロスコープ製品事業部長を務めるJay Alexander氏である。
図5 左側の上下にある2点の画面写真は、オシロスコープのシステム立ち上がり時間の評価結果を示している。電圧振幅の10〜90%間で7.2ps、20〜80%間で5.1psと短い。右側の1点は60GHzの正弦波を観測しているところ。 (クリックで画像を拡大)
図6 90000Qシリーズのもう1つの特長は、入力に広帯域の機械式アッテネータを内蔵しており、広帯域オシロスコープとしては高い電圧の信号をそのまま入力できる点だ。このアッテネータ自体も63GHzを超える帯域幅を確保している。外付けのアッテネータを利用することで観測対象のシグナルインテグリティが損なわれるというリスクが無くなる。 (クリックで画像を拡大)
【訂正】本記事の初出時に、製品の型名に一部誤りがありました。具体的には、ジッタ解析やシリアルデータ解析の機能を追加した機種の型名を「DSOA 90000Qシリーズ」としていましたが、正しくは「DSAX 90000Qシリーズ」でした。お詫びして訂正いたします。なお本文は既に修正済みです。

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