アジレント・テクノロジーのDSOX 90000Qシリーズは帯域幅が最大63GHzと極めて広いリアルタイムサンプリングのデジタルオシロスコープ。32Gビット/秒の高速シリアル信号を、基本波である16GHzの3次高調波まで取り込んで、高い精度で波形を観測できる。
アジレント・テクノロジーは2012年4月、周波数帯域幅(入力信号の−3dB帯域幅)が最大63GHzと極めて広い、リアルタイムサンプリングのデジタルオシロスコープ「Agilent DSOX 90000Qシリーズ」を発売した。「Infiniium(インフィニウム)」ブランドで展開している製品群の最上位シリーズに位置付ける。従来の最上位機「同90000 Xシリーズ」で最大33GHzだった帯域幅を2倍近くまで広げた。28Gビット/秒や32Gビット/秒の高速シリアルデータを扱い、40G/100Gビット/秒のデータ伝送速度に対応する光通信機器や、16Gビット/秒のPCI Express Gen4を組み込むシステムの開発に向ける。同様の用途に向けた広帯域オシロスコープとしては、Lecroyが2012年1月に60GHz機を発売していた。
最大帯域幅が20GHz、25GHz、33GHz、50GHz、63GHzと異なる5機種を用意した。50GHz機と63GHz機については、最大帯域幅が得られるのは同時使用チャネル数が2チャネル以下の場合である。3〜4チャネル同時使用時はいずれも33GHzにとどまる。
63GHz機「DSOX96204Q」の主な特性は以下の通り。サンプリング速度は、同時使用チャネル数が2チャネル以下の場合に最大160Gサンプル/秒、3〜4チャネル同時使用時に最大80Gサンプル/秒。波形メモリの容量は標準20Mポイント。オプションで最大2Gポイントまで拡張できる。ノイズフロアは50mV/目盛設定時に4.4mV、ジッタフロアは75fs(フェムト秒)未満だという。いずれも「業界最小だ」(アジレント・テクノロジー)と主張する。価格は、5217万8856円(2012年4月11日時点の税別参考価格)。2012年7月に一部の顧客に向けて出荷を開始する。
さらに、前述の5機種それぞれにジッタ解析やシリアルデータ解析の機能を追加した機種も「DSAX 90000Qシリーズ」として用意した。価格は、例えば63GHz機が5442万470円である。
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