電池の性能は、タンクに蓄えられた水が水車を回す状態に例えることができます。水車は、タンクを高い位置に置き、多量の水を流せば、勢いよく回ります。このとき、パイプの太さが細すぎると勢いが弱まってしまいます。また、長い時間回し続けるためには、タンクの大きさを大きくする必要があります。これを電池に例えると、タンクの高さが電池の電圧、水の量が流れる電流、パイプの太さが電池の内部抵抗、水車を回す力が電池の出力、そして、タンクの大きさが電池の容量となります。
1)電圧
金属のイオン化傾向の違いによって、理論的な電圧が定まり、これを「起電力」と呼びます。電流を流していないときの電圧は「開路電圧」と呼ばれ、この起電力を同じ意味合いになります。電池を使用しているときは、電流が流れているため、電池の内部抵抗のせいで電圧が低くなります。
この時の電圧を「閉路電圧」と呼びます。水車の例えでは、パイプが細いために水の勢いが弱まり、見かけ上、低い位置のタンクから水が流れているのと同じ状態になっていると考えることができます。電圧の単位はボルト(V)であり、これは、電池を最初に発明したボルタからとられています。
2)容量
電池を使ってさまざまな機器を動かす際の、機器が動く時間の長さに相当しますが、学問的にいうと、電池に蓄えることのできる電気容量となります。電気容量としては、クーロン(C)という単位がありますが、これは1A(アンペア)の電流を1秒間流すことができる電気量ですが、電池の単位としては、通常は、1時間当たりのアンペアアワー(Ah)という単位が良く使われます。1Ah=3600Cとなります。
3)出力
出力は電池が瞬間的に取り出すことのできるパワーであり、電圧と電流をかけたものになります。単位はワット(W)となります。内部抵抗が小さいほど大きな出力を出すことができます。
4)エネルギー
電池から取り出すことができるエネルギーは、容量と電圧をかけたものとなります。エネルギーの単位としては、ジュール(J)がありますが、電池では通常、ワットアワー(Wh)が使われます。1Wh=3600Jとなります。また、これを電池の体積で割った体積エネルギー密度や質量で割った質量エネルギー密度も電池の性能をあらわす指標としてよく使われています。
5)電池特性の表現
出力、容量、エネルギーは、いずれも、電流、電圧、時間の組み合わせから成り立っています。それらの組み合わせによって、電池の特徴をあらわしています。
電池特性を表現するために放電曲線がよく使われます。これは、一定電流を流し続けたときの電圧の変化を横軸の時間に対してグラフにしたものです。
ある瞬間の電圧に電流値をかければ出力、放電した時間に電流値をかければ容量、放電までの面積に電流をかければエネルギーが求まります。また、あらかじめ時間に電流をかけて容量を横軸としたグラフもよく使われます。二次電池では、充電時の電圧変化をあらわした充電曲線も使われます。
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