富士通セミコンダクターが開発した「FPWM」は、高速負荷応答を特徴とするコンパレータ制御方式を採用しつつ、クロックに完全同期して動作させるDC-DCコンバータ技術である。これまでカスタム品にのみ適用していたが、今後は汎用品に展開する。
富士通セミコンダクターは、クロック同期型コンパレータ制御方式を採用したDC-DCコンバータ技術「FPWM」を開発し、「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」(2012年7月11〜13日、東京ビッグサイト)に参考出展した。コンパレータ制御方式を採用することで負荷変動に対する高速応答を実現しつつ、クロックに同期動作させることで雑音対策を容易にしたことが特徴である。開発したFPWM技術はこれまでカスタム品にのみ適用していたが、今後は汎用のDC-DCコンバータICに展開する計画である。モバイル機器向けの先端システムLSIの電源に適しているという。
コンパレータ制御方式では、高速コンパレータを使って出力電圧を基準電圧と比較しながらデューティー比を変化させることでスイッチング動作する。負荷の変動に対して高速に応答できるという特徴がある一方で、雑音対策が難しいという弱点があった。入出力条件や負荷変動に応じて、スイッチング周波数が変化するからだ。これに対して開発したFPWM技術では、クロックに同期させてスイッチング動作させるため、スイッチング周波数が一定となる。この結果、高調波成分が安定した周波数で発生するため、雑音対策が容易になるという。
入力電圧は2.9〜5.5V、出力電圧は0.8〜1.3V、出力電流は最大1.2A、スイッチング周波数は3.0M〜4.5MHzである。出力電流が0〜450mA/2μsで変動したときの出力電圧の変動は20mV以下である(出力コンデンサが10μFのとき)。
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