半導体製品には、メーカーが競合他社品との差別化を狙って開発したユニークな機能が搭載されていることが少なくありません。そうした機能には、メーカーが独自の呼称を与えている場合が多く、その実体を理解するには技術資料を詳しく読み込む必要があります。英文のデータシートでそうした場面に遭遇したら、どうすればよいでしょうか?
皆さん、残暑いかがお過ごしでしょうか? 今年の夏は猛暑日が多く、たまらない毎日が続きましたね。仕事にも気が入らないから、もう縁側でたらいに水を張って足を冷やしながらスイカなんぞ食べてね。そして夜はお祭りなんぞに繰り出して、射的で景品を狙ってね。弾が当たってもなかなか落ちず、悔しがったりね……。
そんな夏も、そろそろ終わりに差し掛かってきました。わずかながら季節の変わり目も感じられます。そろそろお仕事、始めましょうか! 今回は、英文のデータシートに登場する、耳慣れない名称が付けられたユニークで特長的な機能を理解する方法について話していきたいと思います。
本連載の1回目で説明した通り、データシートでは英語を詳しく読み込まずとも、数字を見れば特長をある程度つかむことができます。しかし、これで把握できる特長とは、あくまでも「電気的な特性が優れている」という意味での特長です。「ユニークなメカニズムで動作する機能によって、他の製品にないようなユーザーメリットを提供する」という意味合いの“特長”については、さすがに数字だけ追っても理解できません。
そのような特長的な機能を説明する場合、データシートの提供者である半導体メーカーは独自の“造語”を使ってその機能を語っていることが多いのです。
例えば、RS-232トランシーバICの定番である「MAX232」を元にした、最新の派生品種「MAX13234E〜MAX13237E」(クリックでPDF形式のデータシートが開きます)を例として見てみましょう。このトランシーバICは、基本的にはレベルシフターであり、TTLロジックと±12Vロジックを橋渡しするインタフェースの機能を備えています。
さて、このデータシートを眺めてみると、1ページ目の「概要(General Description)」と「特長(Features)」の欄で「AutoShutdown PlusTM」なる文言が目につきます。商標の表記(TM、トレードマーク)も付いていますし、よほどのうたい文句のようです。きっと何かユニークな機能のはず。さて、どのような動作でどんな効能があるのかというと、おっと……英文で何やら書いてありますな……あれ、まぶたにかかる重力が大きくなってきました……これはいかん!
英文のデータシートでこのような場面にぶち当たったら、いったんその資料から離れて、日本語で用意された答えをWeb上で探してみるのも手です。まずこのAutoShutdown Plusというのが、他の製品にも搭載されている機能なのかどうか、調べてみましょう。
試しにWeb検索エンジンに「RS-232 AutoShutdown」というキーワードを与えて、検索を実行してみます。すると、アプリケーションノート「RS-232 Features Explained」や、少し古そうな型番の品種のデータシート「MAX3320」や「MAX3238」などがヒットしました。このうち、アプリケーションノートの方を開いてみると……残念! 英語でした。
これは飛ばして、日本語の題名がついたアプリケーションノートを探してみましょう。「RS-232 トランシーバの進化」というものが見つかりました。これは、AutoShutdownさらにAutoShutdown Plusがなぜ必要なのか? そしてその機能で何を解決できるのかを、日本語の図と文章で説明しているので、英文に触れずに機能を把握することができますね。
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