テクトロニクスは、デジタルIF方式を使うリアルタイムスペクトラムアナライザ「RSA5000シリーズ」に、測定周波数の上限が15GHzの機種と26.5GHzの機種を新たに加えた。さらに、旧来からラインアップしていた3GHz機と6GHz機の価格を約30%引き下げた。
テクトロニクスは2013年1月、デジタルIF方式を採用するスペクトラムアナライザ(いわゆるリアルタイムスペアナ)の「RSA5000シリーズ」を拡充し、測定周波数の上限を15GHzに高めた機種「RSA5115A型」と同26.5GHzの機種「RSA5126A型」を新たに追加した。さらに、従来からラインアップしていた3GHz機「RSA5103A型」と6GHz機「RSA5106A型」について、販売価格を約30%引き下げると発表した。
同社によると、「リアルタイムスペアナは、スーパーヘテロダイン方式をとる旧来の掃引型スペアナに比べて、無線開発におけるノイズや干渉の検出・解析能力が高いという特長があるが、ユーザーからは価格がもっと下がれば利用しやすい、もっと高い周波数帯でも使いたいという声が上がっていた」という。今回はそうした要望に応えた格好だ。
価格については、約30%引き下げた3GHz機が298万円、6GHz機が418万円、今回新たに追加した15GHz機が516万円、26.5GHz機が576万円である(いずれも税別で、オプションを含まない標準仕様の本体価格)。同社が別に提供するリアルタイムスペアナのハイエンド機「RSA6000シリーズ」は、「価格が簡単に1000万円を超えてしまう」(同社)ので、RSA5000シリーズの方が帯域幅拡張オプションを搭載しても20〜30%程度は安価だという。RSA6000シリーズは20GHz近辺のノイズ性能に優れているが、それを重視しないユーザーにはRSA5000シリーズが選択肢になる。
スペアナの最も重要な性能指標の1つである帯域幅については、リアルタイム帯域幅(リアルタイムスペアナの仕組みを解説した参考記事)を最大110MHzに拡張できるオプションを新たに用意した。RSA5000シリーズの標準仕様は25MHzであり、従来用意していた帯域幅拡張オプションは40MHzと85MHzだった。これらオプションの価格は、110MHzが358万円、85MHzが263万円、40MHzが143万円である。「競合他社機は、オプションを搭載しても最大40MHzにとどまる」(テクトロニクス)という。
この他、RSA5000シリーズのスペアナとしての主な特性は以下の通り。測定周波数の下限は1Hz。表示平均雑音レベル(DANL)は26GHzにおいて−155dBm/Hz(プリアンプ使用時)、10kHzにおいて−129dBm/Hzを確保した。位相雑音は1GHzにおいて−113dBc/Hz(10kHzオフセット)に抑えている。
なお新たに追加した15GHz機と26.5GHz機でも、RSA5000シリーズの従来機種が搭載していたテクトロニクス独自の信号解析機能を利用可能だ。例えば「DPXゼロ・スパン」は、時間に対する振幅と周波数、位相それぞれの変化を6.7nsと極めて高い時間分解能でリアルタイムに(ライブで)観測できる上、その変化をトリガーとして信号を捕捉することもできる。
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