ロームは2013年6月から、定格電圧3.0Vを実現した薄型高出力の電気二重層キャパシタを発表した。材料や製造プロセスの改良により、内部抵抗を抑えた。
ロームは2013年6月から、定格電圧3.0Vを実現した薄型高出力の電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)をサンプル出荷する。内部抵抗も25mΩ(容量=0.7F時)を実現し「業界最高の高電圧化と低抵抗を両立させた」(ローム)としている。サンプル価格は400円で、2014年1月から月産30万個規模で量産する予定。
ロームは、EDLCの高電圧化を図るために、新たな材料選定を行い、独自製造プロセス技術を適用した。EDLC内部の集電極の表面処理を工夫することで、抵抗要因の1つである界面抵抗を「ほぼゼロにすることに成功した」という。さらに、結合剤材料の見直しや高温処理などにより、活物質同士の結着性が向上したことで、25mΩ(容量=0.7F時)の低い内部抵抗を実現したとする。
内部抵抗の低減により、高出力化が可能になり今回、定格電圧2.7Vの「SRシリーズ」とともに定格電圧3.0Vの「VRシリーズ」を製品化した。両シリーズとも、容量は0.7Fで、内部抵抗は25mΩ。サイズは25mm角/厚さ1.4mmで、使用温度範囲はSRシリーズが−30℃〜+70℃、VRシリーズが−30℃〜+65℃となっている。さらに使用温度範囲を+80℃まで広げたVTシリーズ(定格電圧2.7V、容量0.7F、内部抵抗70mΩ)も製品化している。
ロームは、センサーネットワークシステムの補助電源としてEDLCの開発を進めてきた。新製品の応用例として、デジタルビデオカメラなどのLEDフラッシュ用補助電源や、スマートメーターなどの制御機器におけるマイコンやメモリのバックアップ電源などを想定。同社は、「今後、LSIやLED、各種モジュール化技術を生かし、LED素子とEDLCを組み合わせたLEDフラッシュモジュール製品など、周辺回路を含めたアプリケーション提案を実施していく。また、産業機器や自動車分野など、蓄電デバイスとしての期待が高まっている市場向けに大容量化にも取り組んでいく」としている。
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