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ケーブルの容量からケーブル長を算出Design Ideas 計測とテスト

容量測定機能を持ったマルチメーターを用いて、どこにも接続されていない(オープン回路)のケーブル長を測定できる。ペア線同士の容量や芯線とシールド間の容量は、ケーブル長に比例するため、単位ケーブル長当たりの容量が分かれば、オープン回路のケーブル長は計算できる。

» 2015年03月30日 14時00分 公開

 容量測定機能を持ったマルチメーターを用いて、どこにも接続されていない(オープン回路)のケーブル長を測定できる。ペア線同士の容量や芯線とシールド間の容量は、ケーブル長に比例する。すなわち、単位ケーブル長当たりの容量が分かれば、オープン回路のケーブル長は計算できる。

 単位ケーブル長当たりの容量を求めるには、パーツ店で長さが既知のケーブルを購入し、マルチメーターでケーブルの容量を測定すればよい。マルチメーターは、容量測定をする前に、必ずゼロ校正を実施する必要がある。ゼロ校正をするためには、マルチメーターを容量測定機能に設定する。この際、リード端子には何も接続しない。マルチメーターのゼロ校正が終わったら、購入したケーブルの容量を測定する。測定した容量をケーブル長で割り算して、単位ケーブル長当たりの容量を求める。

 単位ケーブル長当たりの容量を求めた後、測定対象のケーブルに電圧や信号が供給されていないことを確かめて、オープン回路のケーブル全体の容量Cを測定する。ケーブルの長さは、容量Cを単位ケーブル長当たりの容量で割り算して求める。

 ケーブル長の測定レンジと測定分解能は、マルチメーターの測定レンジと測定分解能に依存する。マルチメーターの最小測定レンジは10nFのものが多い。このレンジでの分解能は10pFである。マルチメーターの測定レンジと測定分解能は通常、10倍の値刻みで変更できる。高い測定レンジを選択すれば長いケーブルが測定できる。しかし、表1に示すように、測定分解能は10倍の値刻みで低くなる(305m/1000フィートを超えるようなケーブルを測定する場合には注意を要する)。

表1 一般的なケーブルの容量を実測した結果
ケーブルの形式 実測した
ケーブル容量
(nF)
購入した
ケーブルの全長
(m/フィート)
単位ケーブル長
当たりの容量*3)
(pF)
測定分解能
(mm/インチ)
測定レンジ
(m/フィート)
より対線
(18ゲージ*1)
41 335/1100 37.3 818/32.2 818/2682.9
6-3 SJ 0.1 1.52/5 20 152/6 152/500
カテゴリー3の電話線
(PVC*2)被膜)
21.6 305/1000 21.6 1411/55.56 1411/4629.6
カテゴリー3の電話線
(難燃被膜)
22.1 305/1000 22.1 1380/54.3 1380/4524.9
14-2 NMB 5.26 76.2/250 21 145/5.7 145/475.3
スピーカー線
(16ゲージ)
0.98 9.14/30 32.7 93.2/3.67 93.3/306.1
スピーカー線
(18ゲージ)
0.91 9.14/30 30.3 100/3.96 100/329.7
スピーカー線
(24ゲージ)
1.69 22.9/75 22.5 135/5.33 135/443.8
ツイン・リード線
(20ゲージ)
0.68 30.5/100 6.8 448/17.65 448/1470.6
RG-6 0.47 7.62/25 18.8 162/6.38 162/531.9
RG-8     29.5 103/4.07 103/339
RG-25     50 61.0/2.4 61.0/200
RG-59     21 145/5.71 145/476.2
測定分解能と測定レンジは、マルチメーターの測定分解能と測定レンジを単位ケーブル長当たりの容量で割り算した値を掲載した。
*1)AWG(American wire gauge)で定められたケーブルの太さの規格。芯線の直径で定義されている。例えば、20ゲージは直径0.8128mm
*2)ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride)
*3)ケーブル長が0.305m(1フィート)当たりの容量

 表1の下段3列以外は、単位ケーブル長当たりの容量を実測してから全長を計算した。下段3列は同軸ケーブルのデータシートから転記した。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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