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マイコンの選び方Q&Aで学ぶマイコン講座(13)(2/4 ページ)

» 2015年04月16日 10時00分 公開

【1】CPUの処理能力

 マイコンの処理能力はCPUの演算ビット数(8ビット、16ビット、32ビットマイコンなど)と演算スピードに依存します。CPUの演算ビット数は8ビット、16ビット、32ビットが主流ですが、昔は4ビットのCPUもありました。CPUが一度に演算できる数字の桁数ですので、基本的に大きい方が演算能力が高くなります。

注意1

 マイコンによっては、CPUの処理能力は16ビットですが、内部バスが8ビットで、一部の内部処理しか16ビットで演算できないものもあります。仕様書に記載されている細かい仕様を見逃さないようにしましょう。


 処理スピードは通常MHz(メガヘルツ)で表されています。図1の場合は72MHzです。マイコンは内部クロックに同期して演算が行われますので、同じアーキテクチャ(内部設計方式)のマイコンならMHzの数字が大きいほうが処理能力が高くなります。

注意2

 マイコンによっては、コアのスピードと内部バスのスピードが異なるマイコンがあります。コアは高速なのにバスは低速な場合があります。コアよりもバスが低速な場合、演算処理の中にバスアクセスが生じると極端に処理能力が落ちるので、注意が必要です。


 マイコンのアーキテクチャが異なるマイコン同士の比較になると一概にMHzだけで処理能力を比較することはできません。

マイコンのアーキテクチャはRISCとCISC*1)が代表的ですが、最近のマイコンでは、どちらの方式も高速処理の最新技術を取り入れているので、優劣を付けられません。

*1)関連記事:CISCとRISC、何が違う?

 マイコンの処理能力を示す指標にDMIPS(Dhrystone million instructions per second)とCoreMark*2)があります。決められた処理を実行させて点数を付けて、比較する方法です。ある程度の指標にはなりますが、ユーザーのコードがこれらの処理と極端に異なる場合はあまり参考にはならないでしょう。

*2)関連リンク:EEMBCのCoreMarkページ

【2】メモリの大きさと種類

 最近のマイコンの内蔵ROMはFlashメモリが主流です。その他にもMask、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などがあります。ROMにはユーザーの作ったプログラムを入れるので、プログラム量を見積もらなければなりません。RAMは演算途中の処理データを一時的に格納するので、プログラムの処理データ量を見積もりましょう。一般的に、大きなプログラムは多量のデータを処理するので、ROMが大きいとRAMも大きくなります。図1の場合、ROMの種類はFlashメモリで32Kバイト〜128Kバイト、RAMは6Kバイト〜20Kバイト内蔵されています。

 しかし、プログラム量も処理データ量も、実際にプログラムを作ってみないと分かりません。そこで、最初は、そのシリーズの中で最もメモリサイズの大きい製品(図1の場合、ROMが128Kバイト、RAMが20Kバイトの製品)でプログラム作ってみて、その結果で最終製品に使う適切なメモリ容量のマイコンを選ぶようにします。

【再掲】図1 マイコンの仕様例(STM32F103の場合) (クリックで拡大)

【3】電気的特性(動作電圧と消費電流)

 電源の種類により、マイコンの電源電圧と消費電流が決まります。最も身近な電源は電池です。乾電池2本を使って3Vの電源にする場合は、電源電圧が3V前後のマイコンを選びます。この時、(恐らく)電池の寿命をなるべく長くしたいでしょうから、電流値の小さいマイコンを選びましょう。ボタン電池を使う場合は、もっと電圧が低く、電流容量が小さいので、マイコンも低電圧動作、低消費電力のものを選ぶ必要があります。その他の電源には、商用電源からDC電源を作る場合、電源用ICを使う場合などですが、これらの場合はユーザーが任意の電圧や電流容量を設計でるので、電源をマイコンに合わせたり、逆にマイコンを電源に合わせたりして融通が利きます。

 最近は、非接触で給電する装置が出てきました。この場合、電源容量が小さい場合が多く、マイコンの消費電力が大きいとすぐに電源を供給できなくなります。このような特殊な電源の場合は、マイコンの消費電力をよく検討する必要があります。

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