代替モードについては議論の余地がある。このモードはユーザーが定義可能なモードであり、どのような信号でもUSBケーブル経由で伝送することを許容するものだ。一例がDisplayPortであり、現状はType-Cコネクタが1つのオプションとして採用されている。Type-Cコネクタは柔軟性が高く、利用できる4本の信号レーンのうち、1本または2本をDisplayPort用代替モードとして選択し、残りのレーンを10ギガビット/秒(Gbps)のUSBデータ用にすることができる。
今後は、代替モードが他のビデオやオーディオあるいは電力用の多くのアプリケーションに使用されることになるだろう。少々皮肉めいたことだが、USBは一方で標準化を肝心なこととしつつ、その一方で代替モードを用意し、開発者が自社ブランドのデバイスだけに対応するプラグ・アンド・プレイデバイスを作り上げることを可能にしている。
物理的には、Type-CのポートとコネクタはMicro-B USB用に最もよく似ている。図3で、USB3.0 Micro-USBプラグとType-Cプラグを比較した。Type-Cポートは8.4mm×2.6mmのサイズであり、最も小さい周辺デバイスに使用するに十分だ。
Micro-Bプラグとは異なりType−Cプラグは端子配列が二重化され、いずれの向きからも使用できる。USB2.0差動ペア端子とVCONN端子はレセプタクル側に二重化端子がある。図4に示しているように、Type-CコネクタではRX2とTX2などの信号端子が増え、さらにグラウンド端子も増えた。これらの新しい信号端子と、付加された電源とグラウンド端子によって、100W(20V/5A)レベルに達する給電能力と、さらにインテリジェントなバス構成が実現された。将来的には、二重化端子がレーンアグリゲーション手法の適用によってデータ伝送スループットの改善に活用されるだろう、ということは容易に推測される。
EMI問題の原因となるRF漏えいを低減するため、USB3.1ではバネ性タブによるグラウンド接続とシールドの改善を目的に新しい要求条件が導入された。その結果、PCB上のコネクタ素子周囲の素子に対する設計保証は必要がなくなるだろう。加えて、現状のUSB3.1規格にはケーブルのシールド効果を計測する項目が含まれた。
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