3回にわたって、最新USB規格である「USB3.1」に対応するための試験について解説していく本連載。第2回は、USB3.1デバイス対応として設計された新しいリバーシブル型コネクタType-Cである。全ての機能を1種類のサイズで提供するType-Cケーブルだが、設計や試験の観点からみればさまざまな問題がある。ケーブルとコネクタに対する新コンプライアンス試験について紹介しよう。
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USBはプラグアンドプレイにより異なるデバイスの相互運用が可能になる点で大きな魅力を持つが、その一方、ケーブルコネクタに方向性のあることが、多くの人にとって不満となっている。コネクタを正しく挿入するにはどの向きにすればよいかを簡単に判断するのは、図1に示すようにたやすいことではない。
例えば、ラップトップやタブレットなど目で見ながら事を進める場合でも十分に不便なことだが、新しいWebカメラをタワーコンピュータの背面に接続するために机の下に潜り込んで作業しなければならないときは最悪だ。
この20年間にわたり、一方向性のコネクタを使い続けてきたので、慣れてしまったのも事実である。とはいえ、コネクタ挿入時に、「常に回してみる」必要がなくなるならば、その方が素晴らしい。それでは、USB3.1デバイス対応として設計された新しいリバーシブル型コネクタType-Cを見ていこう。設計や試験の観点からみればType-Cコネクタにはさまざまな問題があるが、ケーブル両端がリバーシブル特性を持つことは(図2)、誰にとっても感動的だ。
USBの帯域性能面に関して実現されたことの多くは、相互接続に対する優れた設計の結果だ。USBコネクタの革新の経緯を見ると、コンピュータ接続用コネクタのStandard-Aコネクタは、原型となる平型の長方形状だった。Standard USBケーブルの一端につくStandard-Bコネクタは、通常プリンタや電話あるいは外付けHDDなどにプラグインされる。ここ数年間で、元のStandard-BからMini-USBやMicro-USB、さらにはUSB3.0対応バージョンまで数多くの“変種”が登場した。
Type-Cコネクタの登場は、ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)を飛躍的に改善していくだろう。実際、Appleは、USB Type-Cコネクタを唯一のI/Oポートとして装着した12インチ「MacBook」を開発し、業界をリードした。
ただし、主な用途だけを取り上げても、側面から考慮すべきことが多数ある。機械的な堅ろう性、電流供給能力、スケーラブルな帯域、ホスト/デバイス間のスワッピング、さらに他の信号方式への対応、つまり仕様書で「代替モード」と呼ばれる方式への対応などだ。
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