市場には任意波形発生器を用いてUSB3.1のRxテストを行うシステムもある。ところが、マージン評価のためにさまざまな条件でテストを実行しようとすれば、数百パターンの信号波形を事前に準備しておく必要があり、またテスト条件を変更する度にファイルのロードが必要になるため、テスト時間が長くなる。これに対して、J-BERTは比較的容易にパターンの設定や変更が可能となる。コンプライアンス・テストで規定されている7ポイントの条件はもちろん、マージン評価に不可欠なジッタを掃引しながらのテストも可能である。

左=コンプライアンス試験では、代表的な7ポイントしかジッタ耐性を測定しない/右=M8020Aを用いると、ジッタ値や周波数をパラメータとして任意に設定することができ、効率よく測定することができる(クリックで拡大)出典:キーサイトJ-BERTを用いて受信機のテスト/特性評価を実施しているユーザーによれば、「J-BERTを用いると約10分でマージン評価を終えることができる。これに対して、任意波形発生器を用いると2〜3時間は必要となる」ようだ。
加えて、システムに安定化電源を組み込むことでさらなる自動化が可能である。USB3.1の試験では、DUTをループバックに入れる際にDUTをリセットする必要があるが、通常は技術者が手作業でテストフィクスチャとDUTとをつないだり外したりしてリセットを行う。N5990Aは安定化電源を自動制御し、VbusやDUTの電源のOn/Offによって自動的にリセットしてくれる。こうなると技術者がするべき作業は、テスト前にDUTとフィクスチャを接続し、Runボタンを押すことだけである。あとは人間が監視していなくても、自動化されたテストシステムが確実にテストを実行しレポートを作成してくれる。技術者の生産性向上にはこういった自動化が非常に有効である。
なお、次回は「USB PDの評価」について解説する。
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