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USB PDの評価USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?(5)(4/5 ページ)

» 2016年03月08日 10時00分 公開

コンプライアンスとデバッグの両方に対応

 ここで、コンプライアンス試験を行う際に、技術者が注意すべきポイントをいくつか挙げておく。まず、コンプライアンス試験にはPDコントローラー(エクササイザ―)が必要である。また、PDコントローラーはコンプライアンス試験だけでなく、デバッグに利用できる機能も兼ね備えているものをお勧めする。GRL製のコントローラーは、テスト用のシーケンスだけでなく、任意のコマンドをステップ実行していくことも可能で、また今後の機能拡張にも対応しているため、PD製品開発の全ての場面において重宝するツールといえる。

 物理層試験での注意点は、CCラインにおけるマスクテストがかなり厳しく設定されている点だ。このため、測定に用いるオシロスコープの仕様として、ノイズフロアが小さく、長時間の波形捕獲に必要なメモリ長が内蔵されている、ことなどが重要となる。キーサイト製のInfiniium Sシリーズは、縦軸10ビットの高分解能と低ノイズを実現しており、これらの測定に十分対応することが可能なオシロスコープである。また、信号が減衰しない1対1プローブの利用を推奨する。

 Vbusの試験を行うためには電源と電子負荷を用意する必要がある。特に、電圧のスルーレートを可変できる機能や、ノイズを模擬できる機能を備えた電源であれば、さまざまなテストを行うことができる。キーサイトは、Vbus試験に適した電源アナライザ「N6705B」や制御ソフトウェア「14585A」などを用意している。

電源アナライザ「N6705B」と制御ソフトウェア「14585A」を組み合わせる 電源アナライザ「N6705B」と制御ソフトウェア「14585A」を組み合わせることで、任意の電源波形やシーケンスを作成してテストが可能になる(クリックで拡大) 出典:キーサイト

 キーサイトが2015年12月にリリースしたUSB-PDトリガー&デコード機能は、Infiniium Sシリーズ/9000シリーズのオプション機能となる。対象となる製品モデルであれば、ライセンスコードを購入するだけで、容易にアップグレードすることができる。

Infiniium Sシリーズ/9000シリーズのオプション機能として新たにリリースされたUSB-PDトリガー&デコード機能 Infiniium Sシリーズ/9000シリーズのオプション機能として新たにリリースされたUSB-PDトリガー&デコード機能 (クリックで拡大) 出典:キーサイト

 USB-PDトリガー&デコード機能を搭載したオシロスコープを用いると、PD通信中に発生した特定のイベントにトリガーをかけて、その前後のデータを保存することができる。これらのデータから、イベント前後の挙動を解析することが可能となる。接続された機器間でPDのネゴシエーションを行う際の動作検証やデバッグなどに有用である。また、キーサイトが用意しているType-C低速信号フィクスチャー「N7016A」との組み合わせで、CCラインへのプロービングや電源・電子負荷などの接続にも対応でき、あらゆる条件での動作検証やデバッグが可能になる。

USB PDの検証・デバッグにキーサイトのType-C低速信号フィクスチャー USB PDの検証・デバッグにキーサイトのType-C低速信号フィクスチャー「N7016A」を使用する方法(クリックで拡大) 出典:キーサイト

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