連載の最終回となる今回は、「USB PDの評価」に関して、PD(Power Delivery)のコンプライアンス試験や動作検証などのテストソリューションについて述べる。
「USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?」バックナンバー | |
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⇒ | 第1回 USB 3.1/Type-Cの概要と測定の肝 |
⇒ | 第2回 コネクター/ケーブルの評価では、新しい概念も |
⇒ | 第3回 USB 3.1/Type-Cのトランスミッタテスト |
⇒ | 第4回 USB 3.1/Type-Cの受信耐性評価 |
USB 3.1/Type-Cについて、これまではその概要や送受信の性能評価のためのテスト方法などを紹介してきた。連載の最後となる今回は、USB 3.1/Type-Cの大きな特長の1つでもあるPD(Power Delivery)とその評価方法、コンプライアンス試験などについて解説する。
PDに関して、これまでも繰り返し述べてきたが、あらためてその特長などを確認しておく。PD 2.0では、電力供給が最大100Wに強化された。ノートPCの充電用途などにも対応できる仕様である。このため、運用上の安全性を十分に考慮する必要がある。例えば、供給電流が3Aを超えるシステムの場合、ケーブル仕様の情報が登録されているIDチップが内蔵された「eMarkケーブル」を機器間接続に用いる設計とするようPD2.0仕様で定められている。
PDで供給できる電圧および電流は、10W(5V、2A)から100W(20V、5A)まで5種類のプロファイルが定義されており、利用する用途などに応じて選択することができる。しかも、接続された機器間で電力供給は双方向に行うことが可能である。また、「Alternate Mode」を活用すれば、同じType-CコネクターでDisplayPortやMHL、Thunderboltなど、USB3.1以外の通信モードによるデータ伝送が可能となる。
Type-Cコネクター付きのケーブルを用いて、PCやモバイル端末、ディスプレイ装置、周辺機器などを接続すれば、映像やデータの送受信および電源供給を1種類のケーブルで行うことが可能となり、配線をすっきりさせることができる。これまでPCやモバイル端末ごとに用意されていた専用ACアダプターも、いずれは不要となる可能性が高い。
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