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二分化が進むクラウドRANとモバイルエッジコンピューティング無線インフラにふさわしいアーキテクチャは?(3/4 ページ)

» 2016年03月30日 11時30分 公開

モバイルエッジコンピューティング実現へのハードル

 MEC実現までの道のりにおいて主要なハードルとなるのは、基地局にサーバとストレージを追加する場所のレンタル料、メンテナンス、課金方針です。現在、課金方針とルール機能は、キャリアによって制御されるコアネットワークの一部となっています。キャリアやその他のコンテンツプロバイダーがエンドユーザーにサービス料を公正に課せるようにするには、派生するトラフィックコントロールソリューション(PCRF)機能を基地局でローカルにホストする必要があるでしょう。

図2:モバイルエッジコンピューティングの概念図 (クリックで拡大)

5G/Massive MIMOでさらなるジレンマも

 2020年には、第5世代移動通信(5G)がもたらす情報社会でクラウドRANとMECがアーキテクチャを取り合うことで、さらなるジレンマが生まれることが予想されます。限られたスペクトラムがますます不足していく中で2020年に推定されるデータ需要を満たすため、5Gは6GHz未満と6GHzを超える両方のスペクトラム向けのMassive MIMO(大規模MIMO)などの技術を使用し、効率的にスペクトラムを使用することを目的としています。

 Massive MIMOシステムは、多数のアンテナを使用して、ユーザーごとにビームを生成します。そのため、エネルギー効率とスループットが大幅に改善します。またMassive MIMOには、アンテナ信号チェーンに、安価な低消費電力コンポーネントを使用するという利点もあります。Massive MIMO技術は、連続した広い帯域幅を確保可能な、安価で活用されていないスペクトラムリソースであるミリ波およびセンチ波周波数に非常に適しています。これらの周波数で細いペンシルビームを使用することで、アンテナ利得を大きくし、高伝搬を補うことができます。

図3:ミリ波Massive MIMO(200MHz 64×64アンテナアレイ)システム (クリックで拡大)

 しかし利点だけでなく、ハードルもあります。デジタルビームフォーミング用にプリコーディングを使用する多数のアクティブ無線信号チェーンとレイヤー1のベースバンドをサポートするため、信号処理が非常に複雑になります。このため、ベースバンド処理の信号チェーンと無線間で必要なバンド幅が急激に増加します。このようなシステムを経済的に実現するには、レイヤー1のベースバンドの信号処理を無線に統合する必要があります。このように機能を分割することで、今後はネットワークノードが従来の基地局のアーキテクチャに戻り、L1〜L3のすべての無線機能が併置される可能性があります。

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