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600A対応クランプ型電流センサー、BEMSやFEMSにインダストリー4.0による需要増でシェア拡大へ

TDKは、クランプ型交流電流センサー「CCTシリーズ」の新製品として、600A対応品を発表した。フェライト材料の形状を最適化することで、600Aへの対応だけでなく軽量化/小型化も実現。これにより、BEMSやFEMSといった大電流のセンシングニーズへの対応を可能にしている。

» 2016年04月07日 11時30分 公開
[庄司智昭EDN Japan]

 TDKは2016年4月5日、クランプ型交流電流センサー「CCTシリーズ」の新製品として、600A対応品(クランプ内径:φ36mm)を発表した。電力を見える化するシステム向けの電流センサーであり、配線済みの電線にも容易に取り付けることができるという。

形状を最適化したフェライトコア (クリックで拡大)

 CCTシリーズは、2011年に東日本大震災が起こったことよって、エネルギー管理に対する需要が増えたことから開発が始められた。2014年4月には、30A/100A対応品、2015年5月には80A/300A対応品を発表している。

 これまでの製品は、従来型分電盤や、より高機能な電力管理機能を備えた分電盤に対応したものの、対応する電流量が小さく家庭用分電盤に限られた。今回の新製品は、フェライト材料の形状を最適化することで軽量、小型ながら、最大600Aの大電流対応を実現。家庭以外のビルや工場などで使用される高機能分電盤に対応できるようにした。

TDKのクランプ型交流電流センサーのターゲット市場 (クリックで拡大)

全製品の公称変流比が3000:1

 CCTシリーズのもう1つの特長として挙げられるのは、ラインアップ全製品の公称変流比が3000:1であることだ。ビルや工場の電力管理システムなど大電流をセンシングするシステムは、600A対応品のみを電力管理システムに搭載するだけでなく、30A/80A/100A/300A対応製品の全ラインアップが必要になる。

 しかし、電流の結果を読み取る機械は同じであるため、公称変流比が異なれば専用のソフトウェアや変換装置が必要になるという。CCTシリーズは全ラインアップの公称変流比が3000:1と同じであるため、追加の処置を必要としない。

 同社は、「大電流に対応しようとするとサイズが大きくなってしまうため、競合他社は600A対応製品では公称変流比6000:1や9000:1にすることが多い。600A対応製品で3000:1を実現している企業もあるが、材料にフェライトを用いていない。フェライト以外の材料では、周波数が高いところでは特性が落ちるといった課題がある」と語る。

クランプ型交流電流センサー「CCTシリーズ」。右の写真が600A対応製品 (クリックで拡大)

生産工程の自動化で安定的な供給を

 また、巻き線を巻いたり、ダイオードのはんだ付けは従来手作業で行われていたが、生産工程を自動化することで、品質のトラブルなく安定的な供給を可能にした。同社によると、人が3000回巻き線を巻くのにかかる時間は約1時間。自動化した生産工程では、1分程度で済むという。生産工程の自動化によって、価格が高くなることもないとした。

 同社は、「当社はクランプ型電流センサーでは後参入のため、現在競合する企業2社と需要を分け合っている形だ。今回、600A対応品の展開で電力を見える化するシステム向けラインアップを全てそろえ、公称変流比の統一も実現した。今後、インダストリー4.0によるBEMS/FEMSへの需要増加で、シェアを伸ばしていける」と語る。

 600A対応品のサイズは、56×67×96mmとなっている。サンプル価格は、1個当たり4300円。生産開始は2016年7月、月産1000個を予定している。

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