今回は、オリジナル回路「シリアルオシレーター」と「シリアルタイマー」を組み合わせたプレゼンタイマーの作り方を紹介しよう。トランジスタの動作を理解するためにも良い回路であり、これから電子回路を学ぶ読者にオススメだ。
筆者のオリジナル回路であるシリアルオシレーターとシリアルタイマーの組み合わせで実用的なものが作れないか考えた。プレゼン用のタイマーが作れそうなので、試しに作ってみた。今回は3分間のプレゼン時間を計測できるプレゼンタイマーの製作例を紹介する。
このプレゼンタイマーは以下のような動作になる。スイッチを押すと緑色のLEDが点灯してプレゼン開始を表示する。プレゼン終了の30秒前になると赤のLEDが点滅し、終了間近であることを表示する。そして終了時間になると緑と赤のLEDが消えて、タイムアップを表示するようにした。
いきなり3分の設定時間でタイマーを作ると動作の確認に時間がかかるので、まずは1分の時間設定で回路を作った。1分間のシリアルタイマーを作りコンデンサーの放電電圧を監視して45秒程度からシリアルオシレーターを発振させた。時間を長くするにはコンデンサーの容量を追加して希望する回路を作れば良い。参考の回路図を図1に示す。
図1の左半分はシリアルタイマーだ。電源を投入すると抵抗R9とLED、ダイオードD1を通してコンデンサーC1が充電される。スタートスイッチを押すとトランジスタQ1のベース電流が抵抗R1を通してスタートスイッチに流れ、Q1がオンする。Q1のコレクタの電圧が高くなりトランジスタQ2のゲートに電圧が印加されてQ2がオンする。これでQ1のベース電流がQ2にも流れシリアルタイマーはオン状態で保持される。タイマーの動作時間はコンデンサーC1と抵抗R1とR2を通した放電時間で決まるが、この回路図の場合は1分程度になる。
図1の右半分はシリアルオシレーターだ。中央のトランジスタQ3がシリアルオシレーターの動作を制御する。コンデンサーC1の電圧が高いときはQ3をオンして、コンデンサーC2が充電されない。この時はシリアルオシレーターが発振しないのでトランジスタQ5はオフし赤のLEDは消灯している。タイマーが動作するとC1の電圧はVccから徐々に低下して3V程度まで下がるとQ3がオフし、シリアルオシレーターが発振を開始して赤のLEDが点滅する。赤LEDの点滅周期はより目立つように0.3秒周期と短くした。
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