スナバ回路(図6)は、リンギングのピークとともにエネルギーを減衰させる。スナバ回路の働きは、スイッチング電流ループ内の寄生インダクタンスとMOSFETの出力容量よって構成されるLCタンク(の共振)を減衰せることだ。図8は、適切に設計されたスナバ回路によってスイッチノードスパイクとともに振動回数が減少することを示す。「参考資料(2)」には非絶縁コンバーター用のRCスナバ回路の選択肢が記載されている。
MOSFETの特性が異なれば、スイッチノードリンギングの周波数とピークに著しい影響がある。
リンギングに影響するMOSFET特性は、ボディーダイオードの逆回復電荷、出力容量COSSだ。加えて、MOSFETのゲート電荷(Qg)がMOSFETのターンオンとターンオフの時間を決める。小さいQgはより高速のターンオフを意味し、より大きいスパイクをもたらす。
電力段のレイアウトは、良好なスイッチングコンバーターを設計するための最重要な要素の1つだ。スイッチング電流ループの寄生インダクタンスがリンギングの原因になるので、それを最小化することがDC-DCコンバーターのレイアウトに対する常に主要な目標だ。図9において、MOSFETのQL2とQH2、バイパスコンデンサーCOUTおよびセンス抵抗RSENSEのループ面積がスイッチング電流パスを構成する。このループ(図9では緑色で表示)は可能な限り小さくすべきであり、そのためにはループ構成要素を多層板の広いトレースで接続することだ。図9は、昇降圧電力段のレイアウト例を示し、昇降圧電力段でdi/dtの高くなるループをハイライト表示している。
最適化すべき次に重要な要因は、ゲートドライバのトレース長だ。ゲートドライバの進行用と帰還用のトレースは、広くし、並行配置することが望ましい。加えて、ブートストラップ用バイパスコンデンサーは、ドライバのBOOTとSWピンへのスパイクを防止するため、ドライバICのできるだけ近くに配置すべきだ。
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