TDKは2016年5月11日、オーディオラインでの使用に特化したノイズ除去フィルター「MAF1608G」を発表した。オーディオラインに挿入しても、音声信号歪みをほとんど発生させず、高音質を維持できる。
スマートフォンやタブレット端末など通信機能を持つ端末では、オーディオラインから発生するノイズが干渉し、通信品質に悪影響を及ぼす。通信品質を確保するには、オーディオラインにノイズ除去フィルターを挿入することが有効だが、同フィルターは音声信号を歪ませ、音質を劣化させてしまっていた。
そうした中で近年、ハイレゾ音源などに対応した高音質を付加価値にしたスマートフォンやタブレット端末の開発が活発化するとともに、オーディオラインのノイズ除去フィルターへの低歪化ニーズが高まりつつある。
そこでTDKでは、ノイズ除去性能を維持しながら、低歪みを追求したオーディオライン特化型のフィルターの開発に着手。このほど、「恐らく業界として初めて」(TDK)という“オーディオライン専用”のノイズ除去フィルター「MAF1608G」を製品化した。
MAF1608Gは、新たに開発した独自低歪みフェライト材を使用したことで、フィルター無挿入時に対してTHD+N(全高調波歪+ノイズ)差が0%(1kHz、8Ω、1W負荷時)という「ほぼフィルター無挿入時と音質が変わらない」という低歪み性能を達成した。
さらにMAF1608Gは、0.06Ω(典型値)という低直流抵抗で、定格電流は1.6A。出力1W程度で大電流が必要なスピーカーラインにも対応できるようにした。
インピーダンスは900MHz時470Ω(典型値)で各種移動体通信に悪影響を及ぼす周波数帯のノイズを除去できる。サイズは1.6×0.8×0.8mm。サンプル価格は、30円だ。
「MAF1608Gにより、音質劣化のないノイズ対策が可能になった。まずは、音質、通信品質の両立が迫られているハイエンドのスマートフォン、タブレット端末での採用を見込んでいる」(TDK)としている。
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