白色LEDを駆動する場合、一般的にはインダクターを使用した昇圧型DC-DCコンバーター回路方式を用いる。この方式では、電流検出抵抗にかかる電圧が一定になるように電流制御が行われる。しかし、LEDの発光強度については何らの対処もなされていない。そこで、今回は、光センサーによってLEDの発光強度を計測し、その計測値を制御ループのフィードバック信号として使用することで、LEDの駆動電流を制御し、発光強度を安定化させる回路を紹介する。
LEDの発光強度は、その発光色にかかわらず順方向電流と動作温度によって決まる。電流に対する発光強度の変化の度合いは、動作可能な電流範囲で150%程度にも達する(図1)。そのため、LEDアプリケーションの設計者は、まずは一定の電流値でLEDを駆動しようと試みる。
このような考えに基づいて白色LEDを駆動する場合、一般的には図2に示すような回路を用いる。これは、インダクターを使用した昇圧型DC-DCコンバーター回路方式である。この方式では、電流検出抵抗R1にかかる電圧が一定になるように電流制御が行われる。すなわち、この制御系は、LED列両端の電圧値を変化させることでLEDに流れる電流を一定値に維持する。このとき、LEDの発光強度については何らの対処もなされていない。
直列に接続した白色LEDを電流源に接続するこの方法は、電流値が不変ならば発光強度も不変であるとの前提に立っている。残念ながらこの前提は成立せず、全てのLEDは動作時間とともに非線形的に発光強度が低下する。インジケーター用のカラーLEDであれば強度が低下する度合いは小さいが、照明用の白色LEDアレイともなれば動作時間が長くなると著しく発光強度が低下してしまう。また、発光強度は温度によっても変化し、動作温度範囲が広くなると照明性能に影響が現れる。例えば、図3(a)のような具合だ。
動作時間、動作温度による発光強度の変化を補償するには、電圧と電流だけを使用した制御では不十分である。そうではなく、別の情報を加味した制御が必要となる。具体的には、光センサーを利用したフィードバック系を追加することにより、白色LEDの発光強度を動作時間と動作温度によらず一定に保持することができる。
光センサーによってLEDの発光強度を計測し、その計測値を制御ループのフィードバック信号として使用することで、LEDの駆動電流を制御し、発光強度を安定化させるのだ。LEDの発光強度が低下したら駆動電流を増加させ、時間/温度の変化による発光強度の低下を補償することによって、図3(b)のような特性が得られる。
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