ホームネットワーク向け無線規格として注目を集める「Thread」を解説する本連載。今回は、Threadのネットワークトポロジーとネットワーク形成手順の基礎について解説していく。
あらゆるデバイスやセンサーがつながる「IoT(モノのインターネット)」時代を迎え、ホームネットワーク向けに注目を集める無線規格「Thread」。本連載は、Thread Groupが発行するホワイトペーパーから、Threadの詳細を解説している。
前回は、ホワイトペーパー「Thread Overview」から、Threadの概要を振り返るとともに、そのIPスタックの基礎を紹介した。今回は、同じくThread Overviewから、ネットワークトポロジーと形成手順の基礎について解説していく。
<Thread Groupが公開するホワイトペーパー>
1. Thread Overview
2. 6LoWPAN
3. Security & Commissioning
4. Boarder Routers
5. Battery Operated Devices
Threadスタックは、Threadネットワーク内の全てのルーターで完全なメッシュ接続をサポートする。実際のトポロジーは、Threadネットワーク内のルーターの数による。ルーターかボーダールーターが1つしかなければ、基本的な星型トポロジーが形成される。複数のルーターがあると自動的にメッシュトポロジーが形成される。
メッシュネットワークは、無線機がデータを他の無線機に中継することで無線システムをより堅ろうにする。例えば、あるノードがデータを直接もう一方のノードに送ることができない場合、メッシュネットワークは1つ、もしくは複数の中間ノードで中継を行う。Threadネットワークの特徴は、全てのルーターノードがお互いのルートと接続性をメンテナンスして、メッシュネットワークの接続を継続的に保つことである。
Threadネットワークは通常、最大32個のルーターで構成され、デバイスルーティングテーブルを参照して次の中継ルーター(ネクストホップ)にデータ中継する。デバイスルーティングテーブルはスタックソフトウェアにより、Threadネットワーク内の全てのルーターの接続性を保ち、どのルーターとも最新の経路が示されるよう継続してメンテナンスされる。ここではRIP(Routing Information Protocol)アルゴリズムが使われる。
アルゴリズムはRFC1058とRFC2080を参照するが、特定のメッセージフォーマットはない。全てのルーターは、Threadネットワーク内の他のルーターとのルーティングのコスト情報を互いに交換し、MLE(Mesh Link Establishment)を使用し圧縮されたフォーマットでやりとりが行われる*)。
*)IPでみると、Threadネットワークはルーターとホストをサポートしている。ホストは、REEDかスリープ機能付きエンドデバイスとなる。
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