図3はオシロスコープによる波形写真で、500mVピークの400kHz正弦波に対するこの回路の応答を示している。出力電圧は488mVで、入力電圧の正側ピーク値よりわずかに低いだけである。この回路は、良好な正弦波応答特性を示すのに加えて、デューティサイクルが最小5%までの矩形(くけい)波に対しても良好な結果を示している。
注意すべき点は、IC2Aの逆相入力の仮想接地が、VOUTBを正電圧だけに制限していることである。従って、この回路は、真の正側ピーク、つまり、0Vよりも上に振れるピークに限って応答する。入力信号が0Vよりも完全に下の場合には、VOUTBは単に0Vを保つことになる。
この回路の動作にとって本質的ではないが、R3、C2、IC2Bで形成される低域通過フィルターとバッファは、VOUTBに現れるスイッチングノイズをも最小にできる。その一方で、オペアンプIC2Bに固有のオフセット誤差がフィルターの出力電圧に影響を及ぼす。
図4は、この回路の正電源タイプである。RAとRBはIC2Aの正相入力の基準電圧VREFを設定するもので、逆相入力の電位をVREFに等しく保つようにしている。
VINがVOUTよりも大きくなると、コンパレーターの出力MOSFETがオンになり、出力が0Vになって、VREFに等しい電位をR1に印加する。そして、VREF/R1に等しい電流パルスをC1に注入する。この回路はほとんどの点で、図1と同じように動作する。
図1の正負電源タイプと同じように、VOUTは、オペアンプの正相入力の電位より下になることはできない。このため、VINの中心電位がVREFに等しい必要はないものの、VINの正側ピーク電圧はVREFより高くなければならない。
VREFの値を選定するには、オペアンプIC2AとコンパレーターIC1の入力と出力同相モード電圧範囲、入力信号の最大振幅を調べる。正電源電圧+VSを10Vに、RA=RBに設定すると、VREF=5Vとなる。このピーク電圧検出器は0Vから約8Vまでの入力に対応でき、5Vから8Vの正電圧ピークを検出する。R1は、選んだVREFで決まることに留意されたい。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。
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