今回は、プリント回路ボード上の接続パスを確認するのに便利な回路トレーサーを紹介する。
図1に示した回路トレーサーは、プリント回路ボード上の接続パスを確認するのに便利なツールである。その理由は、接続パスの検出に使うセンス電圧がトランジスタのVBEよりも低いことにある。
この回路トレーサーの出力は音である。回路が開放状態の場合は、1秒当たりに約1回の頻度で「カチャ」という音を出力する。短絡状態の場合は、高さが約2kHzの音を発生させる。音で知らせる回路は、回路トレーサーとして理想的と言えよう。なぜならば、目は測定中の接続パスに集中でき、測定器のメーターの動きを確認する必要がなくなるからだ。回路上のある点への接続を確認する実用的なテクニックとして、その点にリード線を接続し、回路の別の点とそのリード線の間の接続を調べる方法がある。高い周波数の音が聞こえれば、プリント回路ボード上に接続パスがあることを確認できる。
慣れれば、カチャという音からさまざまな周波数の音まで、広いダイナミックレンジの音を聞き分け、即座に接続パスの品質を理解できるようになる。さらにコンデンサーも検出できる。容量が充電されると、周波数をスイープした音が出る。
この回路は、感度が十分に高い。例えば、水にぬれた指で回路に触れただけでも音が変化する。R1は、Q1とQ2からなるカレントミラー回路にバイアスをかけるために入れた。ここには0.4mAの電流が流れる。Q1は抵抗を検出するトランジスタで、回路の中心的な役割を果たす。エミッタとVcc間の抵抗によってC2の充電電流が決まる。C2は定電流源から電流を供給されるため、コンデンサーにおける波形はリニアなランプ形状になる。
C2が充電されて、IC1「NE555」のしきい値を超えると、IC1はパルス信号を出力する。R2は、C2の放電率を決める。IC2「74C74」は、IC1の出力パルス信号を相補の方形波に変換し、圧電スピーカーを差動信号で駆動する。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。
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