今回は、主に「Mn(マンガン)系パワー・フェライト」の使用上の注意点について説明していきます。また記事後半では、フェライトの仕様書に記載される主な用語の解説も行います。
今回は主としてMn(マンガン)系パワー・フェライトの使用上の注意点について説明します。なお、カタログ記載の特性などの公報的な資料はあらかじめ入手しておいてください。
部品の納入仕様書の規定が過剰に細かくても納入側、受け入れ側ともに管理に時間がとられますのでメーカーが管理すべき項目と、使う側が管理する項目とを明確に分けなければなりません。例えば下記の項目などは情報公開やRoHS規制の面からも部品納入仕様書に記載すべき項目です。
項目 | 説明 |
---|---|
フェライト粉製造工場 | フェライト粉造粒工場 |
成型工場 | コア製造工場 |
M強度(物性の章で説明) | JISの破壊強度の最低値保証(抜き取りによる焼成ロットごとの保証) |
Bms(100℃) | Bmsの条件定義と100℃での値 |
損失特性 | 磁束密度の定義(Bm、ΔB)、損失密度 |
表面電気抵抗(MnZn) | 規定の2点間の電気抵抗測定・管理 |
注)上記は主な項目であり、他にも記載すべき項目がある場合があります。 |
フェライトはその結晶粒の内部に無数の微小な結晶欠陥を有しているためにその欠陥からの、き裂進展が疲労強度の大部分を占める、いわゆる繰り返し疲労形の寿命特性となります。そのためフェライトには電解コンデンサーに見られる摩耗型寿命はありません。
このフェライトの疲労現象は回数によらずストレスの累積印加時間が寿命を左右すると従来は考えられてきましたが近年ではストレス強度に依存する繰返し疲労(S-N)形だと言われつつあります。
したがって、Bmや温度変化をできる限り減らす設計をしなければなりませんが、ワニス含浸やボビンの2カ所接着などで過大な応力を発生させなければ普通のスイッチング電源などでの使用条件下(非飽和、温度変化幅ΔT<40K、温度変化時間>1.0H)では機械的な寿命は考えなくても良いでしょう。
経験的にも、MIL-HDBK-217を見てもフェライト部品単体で故障したという事例はありません。
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