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絶縁型DC-DCコンバーターによる電力安定化DC-DCコンバーター活用講座(5) 電力安定化(5)(4/4 ページ)

» 2017年09月05日 11時00分 公開
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アクティブクランプフォワードコンバーター

 トランスのリセットに、巻線の代わりにアクティブクランプ(FET)を使うフォワードコンバーターのバリエーションがあります。簡略回路図を以下に示します。

図3:アクティブクランプフォワードコンバーター出典:RECOM(クリックで拡大)

 S2は十分なデッドスペースを取った逆位相のPWM信号で駆動されるので、両方のトランジスタが同時にオンすることはありません。波形はフォワードコンバーターと似ていますが、S1両端の電圧が矩形(くけい)波である点が異なります。出力に流れる電流は同じです。出力波形が同じなのは、S1が開くときに磁場が崩壊せず、1次巻線の電流がC1とS2を通って流れるので、徐々に減衰するためです。従って、伝達関数は同じです。

 アクティブクランプの追加には多くの利点があります。トランスのリセット巻線が不要になります。また、S1の両端のピーク電圧はVINであり、標準的なトポロジーのようにピーク電圧が2×VINに達することはありません。ダイオード損失がなく、S2を流れるのは反磁場電流だけなので、全体の効率が高くなります。さらに重要なのは、アクティブクランプにより、S1の両端のピーク電圧を高くしなくても、高い巻数比を使って50%より高いデューティサイクルで動作できることです。

 アクティブクランプの短所は、そのためにもう1つのPWM信号を生成しなければならないことと、S2がハイサイドドライバーを必要とすることです。しかし、必要なタイミング回路やハイサイドドライバーを内蔵するコントローラーICは数多く存在します。クランプコンデンサーC1はリップル電流が大きいので、過熱しないように注意が必要です。クランプコンデンサー内の電流は次式で概算できます。

ここで、LMAGはトランスの磁場インダクタンスです。


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執筆者プロフィール

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバータの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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