今回から数回にわたり、あまり市場で話題にされないながらも、電子回路に必要な種類の抵抗器について解説していきます。まずは、抵抗器の分類を説明します。
固体材料には電気的な特性として、材料の分子の中を自由に動ける電子の数の差によって生まれる、抵抗率という特性があります(図1)。
銅線のように損失が問題になる場合には“導体”と呼ばれる領域の材料を使い、また電気が流れては困る場合には“絶縁体”と呼ばれる領域の材料を使います。また両者の中間として“半導体”と呼ばれる材料(シリコンやゲルマ)もあります。
ここで取り上げる“抵抗器”は図1の赤枠内の材料を用いますので前回のサーミスタとは異なり、温度などの環境変化に対して特性が安定しています。したがって抵抗器はオームの法則に従って、
箇所などで使われます。また、余分な運動エネルギーを熱(=I2R)に変えて消費する発電ブレーキなどにも使われます。
抵抗器には大きく分けて抵抗値が一定なタイプと調整可能なものがあり、図2のように分類できます。
今回は図中の斜線部の固定抵抗について説明しますが、固定抵抗器はさらに図3に示す構造や材料によってさらに詳細に分類することができます。
抵抗器を構造別に分類すると大まかには図3のように分類できます。
表面実装技術が一般化する前の、形状制限が緩やかだった時は図3(a)の "炭素皮膜抵抗器" と呼ばれるリードタイプの抵抗器を基板に挿入して用いてきました。ですが、表面実装技術が一般化するにつれて図3(b)のチップタイプと呼ばれる表面実装型の抵抗器が用いられ、チップ抵抗器自身も当初の3.2×1.6 mmから0.4×0.2mmサイズへと、さらには図3(c)の複合タイプへと小型化が進んできました。
また大電力化に対しては図3(d)のセラミックスの箱型ケースを持つタイプも用いられています。
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