多くのシステムにおいて、DC-DCコンバーターのオンとオフをリモート制御できると便利です。消費エネルギーの低減、あるいは電源投入と切断シーケンス制御の効率面と安全面の理由からです。そのため、多くのDC-DCコンバーターは、コンバーターをスタンバイモードに切り替えできるように制御入力(オンオフ制御ピン)を備えています。制御ピンは、どのようなオープンコレクタ信号またはNPNトランジスタであってもコンバーターの制御に使えるよう、駆動しやすいピンになっており、高電力コンバーターをスイッチするのにもわずか数ミリアンペアの駆動電流しか必要としません。
実用的ヒント
制御ロジックのタイプには注意が必要です。正論理というのは、信号がHまたは論理値1のときにコンバーターがオンになり、信号がLまたは論理値0のときにオフになる論理です。制御入力は内部でHにプルアップされているので、もしどこにも接続しなければ、コンバーターはオンになります。このタイプは、制御ピンが不要ならコンバーターはアクティブになるので一般的です。
負論理というのは、信号がHまたは論理値1のときにコンバーターがオフになり、信号がLまたは論理値0のときにオンになる論理です。制御入力は内部でHにプルアップされているので、もしどこにも接続しなければ、コンバーターはオフになります。特定の外部条件が最初に成立したときだけコンバーターが起動されるというような、安全性が重要なアプリケーションではこのタイプが便利です。
絶縁型コンバーターでは、データシートにオンオフ制御の基準になっているのがどのピンなのかも書いてあるはずです。大抵の場合は、基準電位は一次側のグランドですが、中には、オンオフ制御が出力側にあって二次側のVOUT−が基準電位になっているコンバーターもあります。イネーブル信号が一次側から出ている場合、フォトカプラのような絶縁素子を使って出力を切り替える必要があります。
全ての制御ピンの入力は、制御信号がゆっくりと上昇する場合に切り替えが繰り返されるのを防ぐため、ある程度のヒステリシスを持っていなくてはなりません。この状態が発生する可能性があるのは、例えば、制御ピンに外部RC遅延回路を使って、入力電圧が安定するまでコンバーターの始動を遅らせるくようなケースです(図5)。
データシートには、リモートピン電圧VREMOTEがしきい値として規定されています。標準値は0 < VREMOTE < 1.2Vのときに論理値‘0’で、3.5 < VREMOTE < 12Vのときに論理値‘1’です。この意味は、VREMOTE電圧が上昇していくときに1.2Vを超えるとコンバーターはスイッチオンし、VREMOTE電圧が下がっていくときに3.5Vを下回るとスイッチオフするということです。時間遅延回路の中のダイオードは、入力電圧がスイッチオフしたときに時間コンデンサーを確実に急放電させ、電力がまたすぐに印加された場合にも時間の遅延を一定に保ちます。
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※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。
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