LVDS SerDesが発表された3年後の1998年、図9のパラレルバスのクロックLow(0)とHigh(1)をスタートとストップビットとしてシリアルデータに埋め込んだ、01
(ゼロイチ)クロック埋め込み式SerDesが発表されました。スタートストップクロック埋め込み式とも呼ばれています。
このデバイスはLVDS SerDesのアーキテクチャの流用で設計され、高速化や長距離化の際に課題であったLVDS SerDesのクロックとデータのスキューの問題を解決しました。
最初の製品は図9の10ビットのシリアルデータに0、1のクロック情報を埋め込んだ計12ビットのシリアル変換でしたが、その後データビットを増やし、18、20、21、26、31、66、67、130、132などのシリアルビット製品や規格が発売、発表されています。
シリアライザ(TX)とデシリアライザ(RX)の距離が離れると個別の電源を使用するために、電源電位差(GND電位)への配慮が必要になります。この電位差の問題を解決するため、データラインにACカップリング(図10右)を使用しています。またTXとRXのGND電位が同じでも、CML I/Oでは送信と受信側の物理層がそれぞれ最適なコモンモード電圧で動作できるよう、同様にACカップリングが一般的に使用されています。
ACカップリングを行うとDCと低周波成分が伝送できないため、ACカップリングでSerDesを動作させる場合は、データストリームのDCバランスを保つためのスクランブル化やDCバランスビットの追加、シリアライザ側でDCバランスを保持させるための特殊パターンのパディングなど、規格や製品によりさまざまな対応を行っています。
10Gbpsのイーサーネット規格IEEE802.3ae 10GBase-R 10GBase-Wで使用されている64B66B(図11-1)、そのデータ長を2倍にしたPCIe Gen3(8Gbps)の128B/130B(図11-2)、64B66BコーディングのDCバランスの弱点を解決したInterlaken 64B67B注1(図11-3)、PCIe Gen3で採用した128B130Bの信頼性向上を目指したUSB3.1 Gen2 SS+(10.3Gbps)の128B132Bも、このスタートストップクロック埋め込み方式に分類されます。
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