製造現場、ホテルやオフィスビル、企業敷地など、どこであれノードのネットワークを構築するには、ノードの基本的な機能は「モデル」を使用して定義し、実装します。モデルはエレメント内で定義します。どのエレメントにも1つ以上のモデルが必要です(図4A)。モデルはノードの機能と動作を定義するもので、ステートはエレメントの状態を定義するものです(図4B)。
先述の電球の例でいえば、モデルが定義する機能は「オン/オフ」と「明るさ」です。それに関連付けられるステートが、それぞれ「オン/オフ」と「0-10」になります。
Bluetooth meshには、複数の値から構成される「複合ステート」もあります。例えば、色を変えられる照明ランプの場合、色は彩度や明るさとは別に変更できます。
1つのステートでの変更が、別のステートの変更を引き起こす場合、それを「バインドされたステート」と呼びます。よく見られる例としては、レベルを示すステートと、オン/オフのステートのバインドがあります。レベルが0から1に変わると、オン/オフのステートも、オフからオンに変わります。
なお、どのモデルにも、モデルごとに固有の識別子があります。Bluetooth SIG設定のモデルには16ビット、ベンダー設定のモデルには32ビット(Bluetoothが指定する企業識別用の16ビット+ベンダーがモデルに割り振る16ビット)の識別子があります。こうして、どのモデルも一意にアドレス指定できます。
Bluetooth meshネットワークでは、クライアント/サーバ型アーキテクチャでメッセージを使用して通信が行われます。サーバの役割は、エレメントのステートを提供することです。最も単純なステートは、バイナリ(2値)スイッチのオンとオフです。「Generic On/Off Server」はシンプルなサーバモデルで、スイッチを表すステートを持ち、そのステートはオンとオフのどちらかになります。
クライアントは、サーバのステートを要求、変更、利用できます。シンプルなクライアントモデルの例としては「Generic On/Off Client」(バイナリスイッチ)があります。Generic On/Off Clientモデルは、メッセージを送信することによってGeneric On/Off Serverモデルを制御します。クライアントはこの仕組みを使用して、例えば照明のオンとオフを切り替えることができます。
このようなクライアント/サーバ型アーキテクチャから、以下の3種類のモデルが生まれました。
モデルを定義することによって、メッシュネットワーク内のノードとその機能を設定できます。モデルの定義や、モデルに関するその他の概念の詳細については、今後の記事で紹介していく予定です。
Bluetooth meshネットワークでは、グローバルな相互運用性と、成熟したエコシステムを利用して、産業用途向けのネットワークを構築できます。Bluetooth meshを支える基本概念をいくつか理解したところで、次回はBluetooth meshネットワークの他の基礎的な事項について解説します。具体的には、アドレス指定、パブリッシュ/サブスクライブ、メッセージ、リストと、これらを合わせてどのような仕組みでBluetooth meshネットワークが形成されるのかを取り上げます。どうぞご期待ください。
特別監修:アリオン株式会社
アリオンは、IT/IoT製品の品質検証や規格ロゴ認証、相互接続・互換性、性能評価、比較試験といった総合的な第三者検証ソリューションを提供する製品品質検証および技術コンサルティング企業です。アリオンにはBluetooth SIGから認定を受けた、製品認証をサポートするBQC(Bluetooth認証コンサルタント)が在籍しています。
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