DC-DCコンバーターを逆接続による損傷から保護する最も簡単な方法は、直列ダイオードを1個追加することです。図2にその回路を示します。電源電圧の極性が逆になった場合は、ダイオードD1が逆方向の電流をブロックして、DC-DCコンバーターの入力回路に異常電流が流れるのを防ぐことができます。もちろん、このダイオードをブリッジ整流器に置き換えれば、コンバーターは入力電圧の極性に関わらず機能します。
直列ダイオードによる保護には、ダイオードでの電圧降下という欠点があり、これは低入力電圧時に特に顕著になります。使用するダイオードの種類によっては、0.2〜0.7Vの順方向電圧降下があり、これに対する電力損失はVF×IINとなり、この損失は変換効率を低下させ、使用できる入力電圧範囲も狭くします。入力電流が1Aの場合、VF=0.5Vの標準的なパワーダイオードは0.5Wを損失します。これは、15Wの標準的コンバーターの消費電力の4分の1にほぼ等しい値で、全体的な効率が20%低下します。
一部のアプリケーションでは、ダイオードでの電圧降下は利点となります。ラリーカーでは、ヘッドライトの明るさを増すために16Vバッテリーがよく使われます。オルタネーターは11〜20Vを供給できるように変更されますが、これは標準的な9〜18VのDC-DCコンバーターの使用範囲を超えています。3個のダイオードを直列に使用すれば、有効入力範囲を下げて、標準的な18Vの入力電圧範囲に合わせることができます。
直列ダイオードに代わる方法が、シャントダイオードによる逆極性保護です。ダイオードによる順方向電圧降下は避けられますが、1次電源を過負荷から保護するか直列ヒューズを取り付ける必要があります(図3)。この構成は一見したところ直列ダイオード方式の保護より優れたソリューションであるように見えますが、実際には直列方式より不利な点がいくつかあります。
第一に、逆接続した場合にコンバーターにかかる電圧は理論上は−0.7Vに制限されますが、このような低レベルの負電圧でもコンバーターの種類によっては損傷を引き起こす恐れがあり、ソースインピーダンスとダイオード特性によっては、電圧がさらに大きくなることもあります。
第二に、ヒューズの選択は簡単ではなく、性能に与える影響が予測を上回ることが多々あります。ヒューズは、実際には設定された電流で焼き切れるように設計された抵抗です。全ての抵抗同様にヒューズにも電圧降下が生じ、その値は電流によって異なります。ヒューズには、ダイオードの順方向電圧降下と同様か、それ以上の挿入損失があります(次ページの表1参照)。
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