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フォトカプラでアイソレーションアンプを構成Design Ideas アナログ機能回路

入力/出力をフローティングにするときや、電位差の異なる信号を検出するときなどにアイソレーションアンプが必要になる。ここでは米Clareのリニアフォトカプラ(LIA100)を用いて、低価格で比較的簡単に製作できるアイソレーションアンプを紹介する。

» 2018年09月05日 09時00分 公開

低価格、簡単に製作できるアイソレーションアンプ

 入力/出力をフローティングにするときや、電位差の異なる信号を検出するときなどにアイソレーションアンプが必要になる。ここでは米Clareのリニアフォトカプラ(LIA100)を用いて、低価格で比較的簡単に製作できるアイソレーションアンプを紹介する。

 図1は入出力電圧が±10Vまで使用できる利得1のアイソレーションアンプの回路図である。LIA100には発光ダイオード(LED)D1が1個、特性のそろったフォトトランジスタが2個(Tr1とTr2)、オペアンプが2個(OP1とOP2)内蔵されている。

図1:フォトカプラ(LIA100)を使ったアイソレーションアンプの回路 (クリックで拡大)

 オペアンプOP1の利得によって負帰還が十分に施されている状態では、OP1の反転入力(1番ピン)はほぼ0V(仮想接地)である。抵抗R2を電源(+15V)に接続して、バイアス電流を一定(83μA)にしておく。ここで、±10Vの入力電圧を抵抗R1で電流に変換してOP1に入力すると、この電流とR2のバイアス電流との差分に比例した電流がTr1に流れるようにD1の電流が制御される。

 Tr1とTr2の特性は同じなので、Tr1とTr2に流れる電流は同じ値である。従ってTr1とTr2に流れる電流はD1の電流に比例する。抵抗R3はOP1の消費電力を低減するために挿入し、OP1の発熱を抑えている。一方、D1に流せる最大電流は20mAで、電流伝達比は標準0.008である。つまり、D1に20mA流したときにTr1とTr2にはバイアス電流が160μA流れる。R1とR2を上記のように選べば、Tr1とTr2の電流を160μA以内に抑えられる。

 また、コンデンサーC1はOP1が発振しないようにするための位相補償用である。ここでは10pFとしたが、プリント基板の浮遊容量を考慮して若干調整する必要がある。オフセット電圧の調整は、入力を0Vに設定し、出力が0Vになるように可変抵抗器VR2を調整する。利得は、振幅が数ボルトの正弦波を入力して、出力電圧が同じ電圧になるように可変抵抗器VR1を調整すればよい。実際に試作した結果、利得が−3dB低下する周波数は200kHz、スルーレートは4V/マイクロ秒、IMRR(Isolation Mode Rejection Ratio)は60Hzで約83dBだった。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。

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