最も効果的なノイズ対策がついに判明!? よくあるEMS対策を比較する【実験編】:ハイレベルマイコン講座【EMS対策】(2)(1/4 ページ)
すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。前回は、【準備編】としてノイズの基礎知識とノイズの対策方法を復習し、それらの基礎知識をベースにした実験方法を説明した。今回は、【実験編】として実験の使用機材など、環境の説明と実際の実験結果を示し、その結果に対してEMS耐性改善効果の高い対策方法を考察する。
すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。 前回は、【準備編】としてノイズの基礎知識とノイズの対策方法を復習し、それらの基礎知識をベースにした実験方法を説明した。
今回は、【実験編】として実験の使用機材など、環境の説明と実際の実験結果を示し、その結果に対してEMS耐性改善効果の高い対策方法を考察する。
マイコンの端子からノイズが侵入する場合と、マイコンを使った製品の筐体に印加されたノイズが間接的にマイコンに侵入する場合の2通りで実験を行う。
マイコンの端子からノイズが侵入する場合は、ノイズの侵入経路が明確であるため、そこに対策を施す。具体的には、撚(よ)り線、フェライトコア、チョークコイル、コンデンサーである。ノイズが間接的にマイコンに侵入する場合では侵入経路を断定できないため、マイコン全体のシールド、デカップリングコンデンサーの強化、配線の最適化などを実施する。
それぞれ実験1と実験2が前者に、実験3が後者に相当する。
- 実験1:リセットラインのノイズ耐量の測定
- リセットラインの配線被覆の上からノイズを印加する。
- リセットラインはマイコンの制御信号の1つで、かつ、マイコンの動作に強く影響を及ぼす信号であるため、ノイズ対策を施し対策の効果をチェックする。
- ノイズ対策は撚り線とフェライトコアを用いる。
- 発振回路は内蔵の発振回路を使用する。
- 実験2:汎用IOラインのノイズ耐量の測定
- 汎用IOラインの配線被覆の上からノイズを印加する。
- 実使用上は汎用IOにノイズが入ることが多いため実施する。ノイズ対策はチョークコイルとコンデンサーを用いる。
- ノイズを印加する汎用IOはハイ出力またはロー出力に固定し、それぞれの場合をチェックする。
- 発振回路は内蔵の発振回路を使用する。
- 実験3:空中放電
- マイコンが実装されたユニバーサルボードをアルミ板で挟み、アルミ板にノイズを印加する。
- 電子回路には直接ノイズが入力されないが、ユーザーの製品の筐体にノイズを印加し、内部に実装されているマイコンのノイズ耐量をチェックする。
- デカップリングコンデンサーの強化(100µFを追加)、配線の最適化(不要な配線を除去)、DUT(発振回路を含む)のシールドの3つの対策をチェックする。
- 発振回路は外付けの水晶発振子を使用する。
実験に使用した機材を図1に示す。
図1:実験環境
- マイコン
- STM8S207S8T6C(STマイクロエレクトロニクス製)*1)
- 実験ボード
- STマイクロエレクトロニクス製ユニバーサルボード(LQFP44、0.8mmピッチ マイコン用)。部品や配線のカスタマイズが可能。
- 電源(5V)
- 安定化電源(菊水電子工業製「PMC35-2A」 0〜35V 2A)から供給
- 正常動作判定
- LEDの正常点滅(点灯、消灯、周期の乱れた点滅はNG)
- 周辺部品
- 電源配線、ノイズ印加用配線(長さは30cmに統一)、動作判定用のLEDとその電流制限抵抗、電源のデカップリングコンデンサー*2)はデータシートに記載の推奨値(ただし、周辺部品は測定の内容によって、変更する。)
- インパルスノイズシミュレーター
- アルミ板
- 20cm×30cm×0.5mm(ノイズの基準電位用と実験3のノイズ印加用)マイコンの実装されたユニバーサルボードと下敷きはビニルシートで絶縁、実験3のノイズ印加用はDUTより7cm離した上側に設置
- フェライトコア
*1)参考URL:https://www.stmcu.jp/stm8/stm8s207208/
*2)Q&Aで学ぶマイコン講座(3):マイコンに接続する推奨デカップリングコンデンサーと接続方法を教えて!
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