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最も効果的なノイズ対策がついに判明!? よくあるEMS対策を比較する【実験編】ハイレベルマイコン講座【EMS対策】(2)(4/4 ページ)

» 2019年11月29日 13時30分 公開
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実験3:ノイズの空中放電

図4:実験3の概要と結果

実験3:ノイズの空中放電の結果

(a)EMS対策なし:67.0V

(b)デカップリングコンデンサーの強化:108.0V

(c)不要な配線を除去:83.0V

(d)DUT(発振回路を含む)をシールド:113V

 (a)を基準にすると、(b)デカップリングコンデンサーの強化で1.61倍、(c)不要な配線の除去で1.24倍、(d)DUT(発振回路を含む)のシールドで1.69倍になった。

考察

 この実験では、デカップリングコンデンサーを強化しただけでシールドの場合とほぼ同等の効果が出ているが、実際にはコンデンサーの種類や容量によって結果が変わるため、よく検討し、適切なものを選ぶ必要がある。

コンデンサーの種類によって全く効果がない場合も実際のユーザー事例にあったため、さまざまなコンデンサーで試してみるのが確実であろう。

 不要な配線の除去では、端子に接続し、開放状態にしておいた5cmの配線3本を外しただけでも効果が確認された。前回の「EMSノイズの侵入経路」の章で述べた、「マイコンのプリント基板上の配線がアンテナになって、ノイズを受けやすくなる」ことがこの結果で確認された。

 DUTをシールドしたケースで最も効果が見られたため、空中放電の場合は、シールドによる対策が最も効果的と考えられる。なお、発振回路にもリセット端子と同様に制御系ラインがあり、内部の動作に影響を及ぼしやすいと考えられるため、発振回路も含めてシールドする方が良いだろう。

まとめ

 以上の結果を図5にまとめる。効果は、いずれもEMS対策のない場合と比べた倍数で示した。

図5:実験結果のまとめ

 この結果から、それぞれの対策は単体で効果があるものの、複数を組み合わせた方がより効果的であることが分かった。製品開発においてコスト低減は必須であるが、可能な限りのEMS対策は施さなければならない。

 繰り返しになるが、ノイズは不定でさまざまな周波数成分(周波数、ピーク電圧など)を持ち、マイコンの使用環境によって有効な対策が異なるため、その効果もマイコンの使用環境やノイズ成分に大きく依存することを忘れてはならない。

 また、今回の結果はあくまで参考値であり、すべての場合に適合するものではない。読者の皆さんが製品を開発される際は、製品の使用条件の環境で入念に確認していただきたい。

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