手ハンダ付けは、特にMLCCコンデンサーにとって危険です。ハンダごての先端によってコンデンサーの表面に簡単に引っかき傷がつくだけでなく、両方の終端部が別々にハンダ付けされるために生じる非対称加熱が構造内にかなりの機械的ストレスを与え、コンデンサーが割れてしまう可能性があります。もしMLCCコンデンサーを誤って落としてしまったら、廃棄しなくてはなりません。
セラミック製コンデンサーの、温度に対する容量値特性は非常に安定していますが、許容誤差仕様により大きく異なります。廉価品は温度範囲全体で+22%、-82%というように温度によってかなり変動します。そのため、25℃で正常に動作するように設計されている回路は、周囲温度が高かったり低かったりすると、その挙動はかなり違ったものになり、信頼性は低下します。
| 最低温度を示す文字コード | 最大温度を示す数字コード | 全温度範囲での静電容量変化率を示す文字コード |
|---|---|---|
| X=-55℃(-67°F) | 4=+65℃ | P=±10% |
| Y=-30℃(-22°F) | 5=+85℃ | R=±15% |
| Z=+10℃(+50°F) | 6=+105℃ | S=±20% |
| 7=+125℃ | T=+22/-33% | |
| 8=+150℃ | U=+22/-56% | |
| 9=+200℃ | V=+22/-82% | |
| 出典:RECOM | ||
例えば、X7Rコンデンサーは、-55〜+125℃の間では±15%の容量値の変動で動作します。
| 静電容量値 | 印加電圧 |
|---|---|
| 10μF | 0V |
| 8.8μF | 2V |
| 7.2μF | 4V |
| 5.7μF | 6V |
| 出典:RECOM | |
最後に、MLCCの使用に関して重要なことは、MLCCの容量値はDC電圧に依存するということです。高い体積効率を得るために層間誘導絶縁体が非常に薄くなっている(わずか数ミクロンの厚さ)ので、電界ストレスの影響を受けやすくなっています。6.3V定格、10μFの0806MLCCは、印加される電圧によって容量値が大幅に減衰するので、そのことを設計の際に計算にいれておく必要があります。
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