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FFTアナライザーの構造や窓関数の使い方FFTアナライザーの基礎知識(2)(2/6 ページ)

» 2020年07月09日 16時00分 公開
[TechEyesOnline]

窓関数の種類と特長

 窓関数はさまざまな形が考案されたが、ここではよく使われる3種類について紹介する。

図4:主な窓関数

 実際に音響や振動の測定では測定の目的によって窓関数を切り替えて使う。窓関数の設定によって測定結果の見え方が異なるので注意が必要となる。

種類 周波数分解能 用途
レクタンギュラ 良い インパルス波形などの過渡信号
ハニング 普通 一般の連続信号
フラットトップ 悪い 高周波分析などレベルを重視する信号
表1:代表的な窓関数の特長と用途

アベレージング(平均化処理)

 FFTアナライザーに搭載されたアベレージング機能を使うことによって、ノイズに埋もれた信号の観測やばらつきの大きな測定などでは、現象の特長が見えやすくなる場合がある。

周波数アベレージング

 FFTアナライザーによって得られた周波数ごとの信号の強度が得られる。得られた周波数ごとの信号強度を平均化することによってノイズによるスペクトルが平たん化され、観測したい信号に含まれる周波数成分が見えるようになる。

 周波数アベレージングには、位相情報を含むフーリエスペクトル平均と位相情報を含まないパワースペクトル平均がある。

 アベレージングには加算平均と指数平均がある。加算平均では指定された回数の平均が終わると測定結果が表示される。指数平均では最新のデータへの重み付け係数を掛けて平均化しているため、平均化処理を止めない限り、無限に平均化処理を繰り返す。

時間軸アベレージング

 デジタルオシロスコープやメモリレコーダーに搭載されているアベレージング機能と同じである。ランダムノイズに埋もれた信号を観測する場合は、固定したトリガー点を決めて同じ信号を繰り返し観測して平均化を行えば、ランダムノイズの影響は軽減される。また、平均化することによって振幅分解能が上がる。

 時間軸アベレージングされた測定結果をFFTすることによって、ダイナミックレンジの大きな測定結果が得られる。ただし、この機能が有効となるのは安定した繰り返し現象のみで、単発の現象はアベレージングができない。

 アベレージングには指定された回数の平均化処理が終わる加算平均と平均化処理を止めない限り、無制限に平均化処理を繰り返す指数平均がある。

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