このようなセラミックキャパシターの開発の歴史を表2に示します。実用化がアルミ電解コンデンサーとほぼ同時期ですからキャパシターとしては古い部類に入ると思われますが近年では技術開発も著しく、部分的にはアルミ電解コンデンサーからの置き換えも始まっています。
セラミックキャパシターとその他のキャパシターとの容量範囲を図2に示します。容量範囲では他の種類のキャパシターに対してメリットはありません。ですが、主要材料が磁器、つまり不燃物であることは大きなメリットであり、他の有機系誘電体を持つキャパシターにはない特徴です。
このメリットを活かしてセラミックキャパシターは安全規格の認定品に数多く採用されており、特に“Yコン*”と呼ばれる種類のものはほとんどがセラミックタイプです。
*)Yコン:Yコンデンサーの略語であり、商用電源〜接地間、あるいは商用電源〜2次間に接続されるノイズ除去用のコンデンサーです。Yキャパシター(Yキャパ)とも呼ばれる時があります。通常のキャパシターに比べて非常に厳しい安全性能と生産管理が要求されます。
キャパシターに用いる誘電体の種類によって温度特性はいくつかのグループに分けることができ、米国の団体であるEIAと欧州/国際標準化のIECが用いた分類名が有名です。日本の業界団体であるJEITAの分類と併せて表3に示します。
表3のIECのクラス3、EIAのクラスIII〜IV、JEITAの種類3はいずれも半導体系のセラミックキャパシターであり、その構造を表4に示します。このクラスのキャパシターは高容量と引き換えに各種安定性が犠牲になっていることや積層技術の進歩によってクラス2キャパシターへの置き換えがんでいること、標準化からも外れていることなどからディスク形を含めて日本では入手が困難になってきています。
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