エッジ向けのコスト重視型FPGA:ザイリンクス Artix、Zynq
ザイリンクスは、エッジソリューション向けに「Artix UltraScale+ FPGA」「Zynq UltraScale+ MPSoC ZU1」を発表した。従来のCSPより70%小型化しており、エッジアプリケーションでの用途を見込む。
ザイリンクスは2021年3月、エッジソリューション向けにコストを重視した「UltraScale+」製品シリーズとして、「Artix UltraScale+ FPGA」「Zynq UltraScale+ MPSoC ZU1」を発表した。
Artix UltraScale+ FPGAは、同年10〜12月に量産を開始し、ツールサポートは同年夏頃に開始する。また、Zynq UltraScale+ MPSoC ZU1は、同年10〜12月にサンプル出荷、同年7〜9月にツールサポートの提供、2022年1〜3月に量産を開始する予定だ。
両デバイスは、ともにTSMCのInFOパッケージ技術を採用し、16nmプロセスで製造される。従来のCSP(チップスケールパッケージ)より70%小型化していて、エッジアプリケーションでの用途を見込む。
Artix UltraScale+ FPGAは、既に量産している同社のFPGAを基に設計された。16Gビット/秒のトランシーバーを搭載。ネットワークやビジョン、ビデオアプリケーションの最新プロトコルに対応する。
Zynq UltraScale+ MPSoCでは、既に「ZU2」「ZU3」を量産しており、今回新たにZU1を追加した。エッジ用途に特化しており、ヘテロジニアスなArmプロセッサベースのマルチコアプロセッササブシステムを搭載。パッケージフットプリントが共通したデバイスに移行することで、演算機能の拡張も可能になる。
「Zynq UltraScale+ MPSoC」
どちらも従来のUltraScale+ポートフォリオと同等のセキュリティ機能を有しており、RSA-4096認証やAES-CGM復号、DPA対策、同社独自のセキュリティモニターIPに対応した。
- 400万ロジックセルを集積、20nm FPGAの出荷を開始
ザイリンクスは、20nmプロセス技術を用い400万ロジックセルを集積した最新のFPGA「Virtex UltraScale VU440」の出荷を始めた。次世代ASICあるいはSoCのプロトタイピングなどの用途に向ける。
- 車載制御およびセキュリティ向けFPGA
ラティスセミコンダクターは、車載制御アプリケーション向けFPGA「MachXO3LF」およびシステムセキュリティ向けFPGA「MachXO3D」を発表した。両製品ともに、車載用途に向けて−40〜+125℃の拡張動作温度範囲に対応している。
- CXLをサポートする、10nmプロセスのFPGA
インテルは、同社の10nmプロセス技術をベースにしたFPGAファミリー「Agilex」の出荷を開始した。既存のFPGA「Stratix 10」に比べ、性能を最大40%向上、消費電力を最大40%削減できる。
- 高効率5G無線ソリューションを共同開発
ザイリンクスは、エネルギー効率の高い5G無線向けソリューションを、テキサス・インスツルメンツと共同開発する。ザイリンクスの適応型IPやSoCとテキサス・インスツルメンツのRFトランシーバーを組み合わせて、無線システムの電力効率を高める。
- 20nmプロセスの航空宇宙分野向けFPGA
ザイリンクスは、20nmプロセスを用いた航空宇宙分野向けのFPGA「Kintex UltraScale XQRKU060(以下、XQRKU060)」を発表した。衛星および宇宙アプリケーション向けに設計されており、放射能耐性に優れ、高スループットで広帯域幅の通信を可能とする。
- 小型化するFPGAがモバイルシステムにもたらす利点
これまでになくインテリジェントとなっている現在のモバイルシステム。新機能が増えることで、システムの電力が大幅に消費される可能性がある。この問題に対処するため、CPUやGPUの代わりにFPGAで細分化された処理を実行することで、システムの機能を最適化する開発者が増加している。
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