プロトタイプの作成段階で、新しいプロセッサに合わせてユーザー自身がPMICを再プログラミングできるとしたら、どうでしょう。ユーザーがプログラミングできるPMIC(ユーザー・プログラマブルPMIC)の場合、デフォルト設定(通常はブランク)で販売されるため、出荷時のプログラミングの開発プロセスがなくなります。さらに、ユーザー・プログラマブルPMICを使用すれば、ユーザーによるプログラミングで新しいプロセッサの電力要件を満たすことができるため、開発プロセスが簡素化されます。
出荷時プログラミングPMICと同じく、ユーザー・プログラマブルPMICには、最終的な設計の面積削減、コスト削減、そして簡素化という面でメリットがあります。ユーザー・プログラマブルPMICでは、出荷時プログラミングPMICにつきものの問題も解消され、サンプル作成や製品のリリースまでの期間が大幅に短縮されます。
出荷時プログラミングPMICでのサンプル作成プロセスとは逆に、ユーザー・プログラマブルPMICのサンプル作成は迅速かつ単純です。ソケット式プログラミング基板のようなサンプルツールキットとPMICのサンプルを利用して、ユーザー・プログラマブルPMICを簡単にプログラムすることが可能です。
ユーザーが設定をカスタマイズする際の標準的なワークフローを以下に示します。
ユーザー・プログラマブルPMICには、別のプラットフォームにPMICを再利用できるというメリットがあります。
あるプロセッサに対応したPMIC電源設計が完了しているとします。次のプロジェクトではシステムを新たに設計する必要があり、プロセッサも別のものを選択します。この2つのプロジェクトでカスタマイズ済みのPMICを使用するとしたら、一般的には、全く異なる2つのPMICを使用するか、同じPMICを2通りにカスタマイズして設計を行うことになります。
2つの別個のPMICを使用して設計するということは、新しいデバイスの機能を短期間で学ばなければならないだけでなく、その前のPMICの設計プロセスで得た知識を生かすことができません。同じPMICを2通りにカスタマイズしたもので設計する場合でも、プロトタイプ開発の改善による恩恵を受けられなくなります。
カスタム・オプション、または、特に大量注文向けと考えられがちですが、現在のPMICはより幅広く利用できるようになっています。設定済みのPMICを、ほとんど設計作業を行わずにすぐに目的のアプリケーションに実装することもできますが、設計の途中で要件が変わると何らかの問題に直面する可能性が高いのです。
ユーザー・プログラマブルPMICならば、プロジェクトそれぞれの電源要件をPMICが満たすことができれば、同じPMICを複数のプロジェクトに再利用することが可能になり、その上、迅速にプロトタイプ作成が進むことで、製品を市場に投入するまでの期間を短縮できるようになるのです。
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