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負電圧出力DC-DCコンバーターの基本2つの大きな課題とは?(3/3 ページ)

» 2022年05月25日 10時00分 公開
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課題2:低い変換効率

 従来の負電圧出力DC-DCソリューションは効率がそれほど高くありません。低い変換効率によって発生する熱は、設計者にとってもう一つの課題となります。図5は、そのようなシステムの回路を簡単に表したものです。

図5:非同期整流、デュアルインダクター反転出力DC-DCコンバーターの回路[クリックで拡大] 出所:Analog Devices

 この回路構成には、変換効率に関する2つの問題があります。第1に、非同期整流スイッチングを採用しているため、出力整流ダイオード(D1)は同期整流ソリューションと比較してより多くの電力を消費してしまいます。

 第2に、追加のパワーインダクター(L1)および追加のコンデンサー(C1)があり、それらもより多くの電力を消費します。図6では、12V入力/−15V出力で測定したこのコンバーターの効率を示しています。最大効率はわずか83%で、消費電力は、出力電流が150mAのときに約460mWです。

図6:前出のDC-DCコンバーターの効率[クリックで拡大] 出所:Analog Devices

 これらの課題に対し、Maxim Integrated(Analog Devices)は、同期整流、反転出力DC-DCコンバーター「MAX17577」「MAX17578」を開発しました。両製品はレベルシフト回路を内蔵しているので、部品コストを削減でき、同期整流方式の採用により高い効率を実現しています。

 MAX17577では、16V入力/−15V、150mA出力で測定した際の効率が最大で88.5%でした。効率が高ければ、それだけ消費電力が低くなり、発熱も減らすことができます。

 図7は、図2の回路で「MAX17579」「MAX17580」を使用した場合を示しています。レベルシフト回路が取り除かれていることが分かります。グランド基準が異なるにもかかわらず、システムマイクロコントローラーは、MAX17579/MAX17580と直接やりとりすることができます。

図7:MAX17579/MAX17580は負電圧レールを使用している[クリックで拡大] 出所:Analog Devices

 このように、レベルシフト回路を内蔵した同期整流DC-DCコンバーターは、従来のソリューションにおける負電圧出力DC-DCソリューションの課題を解決できるデバイスとなり得ます。

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