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デジタルマルチメーターが届いたら最初にすること初めて使うデジタルマルチメーター(1)(4/5 ページ)

» 2022年08月22日 10時00分 公開
[TechEyesOnline]

流電圧を正確に測る歴史

 直流電圧を正確に測りたいという要求は電気の歴史とともに始まった。19世紀に電位差計や精度の高い電気計器(メーター)が登場して、第二次大戦後にデジタルボルトメーターが登場するまでの長い間利用されてきた。電位差計や精度の高い電気計器は精密機械であり、取り扱いには熟練が必要であった。

 第二次世界大戦後に電子回路技術が急速に発展し、最初に登場したのが機械式のリレーを用いたデジタル電圧計であり、その後全てが電子回路によって構成されたデジタル電圧計が開発された。デジタル電圧計の登場によって測定値は数字で読み取ることが可能となり、測定作業の効率化ができるようになった。直流電圧以外の測定もできる現在のデジタルマルチメーターの原型は、1960年代に完成している。

図12:正確に直流電圧を測る測定器の歴史[クリックで拡大]

 デジタルマルチメーターとリレースキャナーやリレーマトリックスを組み合わせた測定システムが作られ、測定の効率化が一層進んだ。1970年代になると、小型コンピュータや測定用の通信インタフェースGPIBが登場して、自動測定システムを容易に構築できるようになった。

現在のデジタルマルチメーターの構造と機能

 現在販売されているデジタルマルチメーターは、直流電圧を測定する高分解能A-Dコンバーターと、さまざまな信号を直流電圧信号に変換する入力回路によって構成されている。

 入力端子はケースと絶縁されているため、コモンモード信号が印加されている信号源の電圧を安全に測ることが可能となっている。テストリードを商用電源のコンセントに直接つないで交流電圧を測定しても危険がないのは、入力端子が絶縁されているためである。なお、一般的なオシロスコープの入力端子は絶縁されていないので、商用電源に直接接続することは測定器の破損や感電する危険があることから絶対行ってはならない。

図13:一般的なデジタルマルチメーターのブロック図[クリックで拡大]

 デジタルマルチメーターに使われる高分解能A-D変換器は、積分型もしくはデルタシグマ(ΔΣ)型が使われている。上図は動作が分かり易い積分型A-D変換器を使ったブロック図となっている。

 最近のデジタルマルチメーターは、直流と交流の電圧と電流および抵抗を測る基本機能だけではなく、周波数測定や温度測定など付加的な測定機能を持つものがある。付加的な測定機能は利用上の制約があるため注意が必要である。付加的な測定機能では要求される測定ができない場合、ほかの種類の測定器が必要となることがある。

 デジタルマルチメーターで測定できる項目は、下図に示す通りである。なお、今回の解説記事で使う34461Aは交流電圧と交流電流の測定は実効値のみとなっている。その他の測定機能は全て本体に含まれている。

図14:デジタルマルチメーターの測定機能[クリックで拡大]

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