マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、上級者の方からよく質問される「発振子よりも、マイコンが高い周波数で動作できるのはなぜ?」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、上級者から多く寄せられる質問です。
マイコンの仕様で、CPU動作周波数が使用可能な水晶発振子の周波数よりも高い場合があるのですが、なぜ発振子より高い周波数で動作できるのでしょうか?
マイコンの中には、PLL(Phase-Locked Loop)というクロック周波数を増加できる回路が搭載されている場合があります。この場合、PLLが発振子のクロックに同期した、より高いクロック周波数を生成することで、より高い動作周波数でマイコンを動かせます。この時、入力した周波数のN倍の周波数を生成することを「逓倍(ていばい)」するといいます。また、入力するクロック周波数をM分の1にする分周器という回路を組み合わせることで、MとNの比で表せる倍率のクロック周波数を生成できます。
PLLを使用した場合のクロック周波数は、次の式で求められます。
式1:PLLクロック出力周波数[Hz]=PLLの入力クロック(発振子)周波数[Hz]÷入力クロック分周比M×PLL逓倍(ていばい)比N
このPLLで生成された高い周波数のクロック信号を利用することで、発振子よりも高い周波数でマイコンが動作できます。
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