さて、突入電流防止回路の修理方法を図4に説明する。
図4左は焼損したリレー、NTCサーミスターとヒューズだ。NTCサーミスターが過熱して、大きく膨潤(ぼうじゅん)している様子がよく分かる。図4右は3つの部品の修理後の写真だ。ほぼ同じ位置に代替部品が実装できた。
修理後はAC200Vを通電して、電源基板や制御基板が動作することを確認した。修理後に通電して正常に動作できた基板の写真を図5に示す。
図5は修理後に基板を組み立てて通電したものだ。システム的な動作確認はできないが基板単体としては修理完了した。
なお、20Aより大きな電流が流れる機器では、大電流の接点を持つ密閉型のリレーを確保するのは難しいと思われるので接点の接触抵抗を監視する回路を考えてみた。図6に示す。
図6は、一般的な突入電流防止回路にフォトカプラを使って接触抵抗の監視回路を追加したものだ。接点の接触が劣化し、その電位差が2V程度になるとフォトカプラがオンして接触抵抗異常を出力する回路だ。このフォトカプラの出力で電源の動作を止めれば、焼損事故を防止できる。
この減圧ポンプのドライバーは過去に2回だが同じ焼損事故を経験した。『2度あることは3度ある』。今後も同様な焼損事故が多発する可能性が高いことは言うまでもない。この機器は半導体製造の工場でも使用されており、ガスや薬品に引火すると大災害につながる。焼損事故は厳禁だ。
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