今回は生産中止されたダイレクトドライブモータードライバーの調査の続きだ。今回はドライバーの不良原因を特定した経緯を報告する。
今回は生産中止されたダイレクトドライブモータードライバーの調査の続きだ(前回記事)。電源部を確認したら問題はなく機器前面の赤LEDが3回ブリンク(点滅)していた。このエラー表示の意味が分かれば原因は究明できるはずだ。今回はドライバーの不良原因を特定した経緯を報告する。
ドライバーの赤LEDが3回ブリンクする表示の意味を取扱説明書で詳細に確認した。だが、残念ながらみつからなかった。Webの支援ソフトで原因を究明するしかなかった。まずはドライバーとPCを接続するケーブルを作った。ケーブルの仕様は取扱説明書に詳細に記載されていた。図1に示す。
図1右側の15ピンコネクターはRS232CとRS485の2つの配線をつなぐことができる独自仕様の配線だった。PCとつなぐのは図1の部分だけで十分だった。
しかし、まだまだ問題があった。それは支援ソフトをインストールできるPCは古いOSのみでWindows XP以前のOSが指定されていた。このため、古いPCを探し出しなんとかインストールした。モータードライバーとPCを接続しモータードライバーに電源を入れて、支援ソフトを始動させた。画面を図2に示す。
図2で支援ソフトのメニューが出てすぐにエラー表示が現れ『アンプの状態は正常ではありません。ERR01.2 Memory error』と表示された。エラー1.2の内容を確認した。図3に示す。
図3はエラー表示の説明資料でERR1.2は『RAMエラー』だった。ドライバーのCPU基板は正常には動作していないようだ。やむを得ず、このドライバーのサポートを提供している会社へ問い合わせると、『メニューでターミナルモードを選択してメモリクリアを実行してください』と回答があった。メモリクリアを実行し『OK』の表示が出たが、電源を再投入してもERR1.2がクリアされなかった。どうやらCPU基板のRAM不良と判断された。
CPU基板のCPUチップを確認すると、型名は「64F7047F50V」と読めた。これは32ビットのRISCマイクロコンピュータで、周辺にはROMやRAMは実装されていなかった。不良部品はROMやRAMを内蔵したマスクCPUと思われた。CPU基板の写真を図4、図5に示す。
図5中央にある正方形のチップがCPUだ。ROMもRAMもCPU内部にありCPUチップ自体を代える必要があると思われた。修理の依頼元にこの結果を連絡しマスクCPUは入手不可で修理できないことを報告した。数日後、代替のモータードライバーを入手したという連絡があり、ドライバーの動作の確認依頼の連絡があった。
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