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ダイナミック回路とスタティック回路の内部構成と仕組みQ&Aで学ぶマイコン講座(89)(3/4 ページ)

» 2024年02月08日 10時00分 公開

ダイナミック回路とスタティック回路のメリット/デメリット

(1)回路面積が小さいダイナミック回路

 前ページで説明したように、ダイナミック回路は(n+2)個のMOSで構成されるため、スタティック回路よりも回路面積を小さく作ることができます。さらに、MOSを複雑につながなくてはならない複合回路も、スタティック回路に比べると簡単な構成で実現できます。

 図3に、4入力の複合回路例を示します。スタティック回路ではMOSの総数は2×4=8個です。一方、ダイナミック回路では、6個です。

<strong>図3:ダイナミック回路とスタティック回路(複合回路の場合)</strong> 図3:ダイナミック回路とスタティック回路(複合回路の場合)[クリックで拡大]

 このように、ダイナミック回路の場合、入力信号数が多ければ多いほど、スタティック回路よりも面積を節約することができます。

(2)クロストークに弱いダイナミック回路

 クロストークとは、回路内の近接する信号線の一方が、他方の信号線に影響を与える現象です。信号間の寄生容量などを介して発生するため、高速で変化する信号線が近接する信号線に影響を及ぼす場合がほとんどです。

 図4にインバーターのダイナミック回路を示します。クロックがハイで、INもハイならば、両方のNMOSがONして、OUTはグランドレベルに固定されます。この時にクロストークが発生して、OUTにノイズなどの信号変動が発生しても、グランド側に逃がすので、ほとんど影響はありません。しかし、クロックがハイで、INがローの場合は、IN側のNMOSがOFFするので、OUTはどこの電位にも固定されないフローティング状態になります。この時クロストークによってOUTをグランド側に引っ張るノイズが発生すると、論理値1が0に変化して、誤動作の原因になります。

<strong>図4:ダイナミック回路におけるクロストークの影響</strong> 図4:ダイナミック回路におけるクロストークの影響[クリックで拡大]

 クロストークは、ダイナミック回路だけではなくマイコンの内部回路で起きてはならない現象です。マイコンの開発工程では、クロストークが発生しないようにレイアウトの配置配線が行われます。

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