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自動車設計の進化で電子部品への要求はどう変わる?DigiKeyとMolexが解説(3/4 ページ)

» 2024年07月26日 13時00分 公開

車載用部品 選択のポイントは

 現代の乗用車には平均80個のセンサー、100個の電子部品、そして大量の配線が使われています。天候や湿気、さまざまな路面状況、高温、振動など、厳しい走行環境下で優れた性能を発揮するためには一つ一つの部品が厳しい基準をクリアする必要があります。

 「運送業において、堅牢性と信頼性は非常に重要です」とLuke氏は述べます。「一部の自動車部品は数十年の耐用年数が求められます。自動車の進化はそのようなタイムスパンを持っているため、利用者が車や飛行機で移動する際に求めるUSB-C充電ケーブルなどを企業や組織の保有車両全体に搭載するには時間がかかるかもしれません」

 自動車メーカーが使用する部品の基準を設定する認証機関としてはAutomotive Electronic Council(AEC)やUS Council for Automotive Research(USCAR)などが存在します。これらの組織は性能要件を定義し、走行環境での使用が想定された部品を慎重に審査、認証しています。世界的に知られているAECの認定(AECQ)部品は一般的に品質、堅牢性、信頼性に優れており、路上での衝撃にも性能が低下しません。他にも、自動車設計で部品を選択する際に注意すべき点があります。

  • モジュール性:必要時にオーナーや修理工場が簡単に交換できるかどうか
  • コンタクト形状:部品を何回抜き差しできるかどうか。すなわち、コネクターとして役目を果たすかどうか
  • 効率性:電力を賢く使っているか、浪費していないかどうか
  • ユースケース:ユースケースを満たす仕様で作られているかどうか。仕様を満たしていない部品は本来の機能を発揮するのではなく、ただ継続的に利用されるだけの状態になりうる一方で、品質が過剰に高い部品は設計時の自由度を制限することがある
  • 組み立ての利便性:車両のどの位置に配置されるかを考慮したとき、組み立てラインでその部品を大量生産の規模で取り付けることが可能かどうか
  • 安全性:車両が動作時に部品の故障が発生した際に、事故防止のためにバックアップが用意されているかどうか

 McWhinney氏は「自動車部品のリスク評価と仕様は表裏一体の関係です」と指摘します。「部品が継続的に使用されるだけでなく、追加機能が求められるようになった場合、仕様の再定義や更新が必要になることがあります。裏を返せば、その仕様が過剰で高コストを招いていたり、設計の柔軟性を損ねていたりする可能性があるということです。アーキテクチャの進化に伴い、仕様の重要性は増加しています」

 Luke氏は、「相互接続の大きなメリットはモジュール部品の付け替えが可能なことです」と付け加えます。「そんなことは当然だ、と思われるかもしれませんが、自動車設計における相互接続性の重要性は過小評価されがちなのです」

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