この回路の電圧は5Vと低いので大きな問題は出ないが、仮に12Vだったならば電解コンデンサーが破裂し大問題になる。これはひどい実装不良だ。逆実装されていたコンデンサー2個とも新品に交換するように連絡し、使用されているICL7660の回路例を送った。図4に示す。
図4のICL7660は高精度の温度計測回路に使用されるマイナス電圧の生成ICだ。図4の左側のコンデンサーC1に5Vを充電し、極性を反転して右側のC2に充電することを繰り返し-5Vを生成している。5kHz程度の周波数でコンデンサーの充放電を行うため通常動作で電解コンデンサーのESR(等価直列抵抗)が徐々に劣化する。その劣化によって、生成される電圧が低くなって電圧異常の「Err2」が発生することになる。
電解コンデンサーを交換し電圧を測定した様子が送られてきた。図5に示す。
図5で生成された電圧は−5.04Vで正常に動作していた。一緒に送られてきたメッセージは、
回路図ありがとうございました。テスターでも確認してみました。確認して良かったです。以前、25V/10μFの電解コンデンサーを取り付けたので、今回も同じ電解コンデンサーに交換してみました。交換後、電圧は約5Vで出力されているので、問題ないと思います。
ということだった。基板の修理はこれで大丈夫だろう。
その後、温調器に修理した基板を実装して確認するように伝えたところ、次のような返信が送られてきた。
再度、AC100Vを接続し温調器を起動させてみたが、(センサー代わりの)110Ωの抵抗を取り付けているにもかかわらず、まだ表示は「oooo」の状態です。
という連絡だった。やはり最初に感じた「2つ不具合があるのでは?」という違和感が当たった。
念のため−5Vの生成電圧を再確認してもらったが、
3ピンと5ピン間を確認して−5.03Vでした。
ということだった。
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