この数年後には、マイコンが出始めた。マイコンを使った回路での仕様変更はプログラムの変更で済む。マイコンは非常に便利だったのですぐに採用し、ワンチップマイコンの「8048」を図2のControl Circuitに使い開発期間の短縮やコストダウンが可能になった。しかし当時はマイコン開発ツールがなく、数千万円する高価なIntel製のMDS(Micro Computer Development System)を買わざるを得なかった。
ワンチップCPUのプログラム(ROM)容量が2Kバイトでメモリ(RAM)容量も128バイト程度しかなかった。しかもモニターはない。プログラムの作成はシーケンスチャートを手書きで作成し、アセンブラを使ってMDSで編集し、マシン語へと変換した。ROMもRAMも容量が小さいので、いかにプログラムを簡潔に正確に作るかが当時の開発の鍵だったことを覚えている。
その頃の話だが、プログラムの作り方を勉強するためEPROM内蔵のワンチップマイコン「8748」で電子オルガンを作った。メモリ容量が小さくRAMは128バイトしかないので、8ビット中の4ビットを音階のデータに、残りの4バイトをスイッチが押された時間に割り当てた。この電子オルガンはもちろん再演奏もできた。ROMに音階と時間を書き込めば自動で演奏することも可能だった。あれから50年たったが、この電子オルガンは自宅でまだ保管していて、DC12V電源を入れれば今でも動作する。図3に示す。
図3でCPUは富士通の「8749」で、周辺には7セグメントのLED、5Vレギュレーター、ダーリントンのトランジスタアレイ、19個のスイッチ、抵抗、コンデンサーとトランジスタのディスクリート部品が実装されている。水晶代わりのセラロックはCPUの下に実装されている。
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