この基板でプログラム作成の練習ができた。スイッチのチャタリングキャンセルや、キーボードアレイから押されたスイッチの検知、7セグメントLEDのダイナミック点灯などが学べた。教材やサンプルソフトがない時代だったので全てが手作りだった。デバッグ用の治具も自分で作った。図4に示す。
図4下側のLEDはProgram Counterの位置を表示しステップ動作でプログラムをデバッグしていた。この治具基板を使ってストップウォッチやタイマーも作った。図5に示す。
最も思い出深い出来事は、プログラム作成の練習として電子オルガンでドレミの歌を作っていた時だ。ピコピコと音を鳴らしながら入力する筆者をとなりの部署の社員たちが、けげんな表情を浮かべてのぞき込んでいた。入力を終えて、いざ再生させると、ドレミの歌とともに、周囲から拍手が沸いていた。当時はマイコンのプログラム開発がとても重要なことだったので、上司も寛容だった。
50年前当時に電子オルガンや家庭用タイマーをマイコンで作れば、かなり売れる製品だったかもしれない。マイコンを使い始めた頃は全てが手作りで、ソフトとハードが一体になった『まさにファームウェアの世界』だった。50年前は参考になる書籍もなく、参考となるソフトウェアもなく、英文の資料を読み、理解しながらコツコツと技術を積み上げた時代だった。
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