リレーの復旧電圧変動の要因を検証した後、無調整のタイマー回路を内蔵した回路に設計変更したが部品の点数が増えた。防犯装置の実装部品点数が増える無調整のタイマー回路は、コストがアップし信頼性が低下してしまった。次の設計変更では装置の小型化/低消費電力化/信頼性向上のためにCMOS ICの「4000シリーズ」を使った回路の導入を試みた。当時は、まだマイコンの使用は一般的ではなかった。
多数のセンサーを同じ制御方法で監視する、ビルや集合住宅向け防犯システムを設計したが、そのときに使用した制御方式は「ステップコントロール」という方式だった。しかしこの方式ではあまり複雑な管理はできない。センサーの監視回路に、ステップコントロールを適用した回路例を説明する。この回路のブロック図を図2に示す。
防犯用のセンサーはセンサーループに複数のセンサーを接続するが、配線が切られたり、短絡されたりされると異常として感知できるように、正常状態ではある電圧範囲に管理されている。このため、入力電圧はWindow Comparatorで監視した。センサーの誤動作が多いので、一定時間以上作動したときに警報を発するようにタイマーで監視した。
図2でのセンサーの正常/異常の判定動作を説明する。これは8入力のセンサーループを監視した回路だ。CH(チャンネル) Counterはカウント値で1から8のセンサー信号を選択する。同時に、メモリに記憶したカウントの値をU/D CounterにPresetする。8CHのセンサーループの入力電圧をアナログスイッチで選択しWindow Comparatorで正常か異常かを判定する。異常の場合はU/D Counterを+1して、正常な場合は-1させる。そしてその値をメモリに記憶する。このカウント値が一定値を超えたら異常状態と判定し、Addressable latchで記憶して異常信号を外部へ出力し表示した。
ステップコントロール回路は図2の下段のControl Circuitに内蔵されCH番号のセット、Memoryからのカウント結果をU/D CounterにPresetし、Window Comparatorの結果でU/D Countにクロックを与える。カウントの値が一定値を越えたらAddressable LatchにセットしてAlarmを外部へ出力する。カウント結果をmemoryに記憶し初期に戻り、次のCHへ進む この動作を繰り返していた。
図2の回路の制御部分はICが5個程度で形成できるので、入力のCH数に応じて8ビットのAnalog SWやAddressable Latchを増やせばいい。50CH近くの集合住宅の防犯装置にこの方式を使用した。しかし、仕様変更があるとControl Circuitを変更するが部品の追加やパターンの切り貼りで対応するため、基板の改造作業が大変だった。
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