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低価格FPGA開発キットの実用性を探る主要4製品の使い勝手を実践検証!(1/5 ページ)

FPGAは、通信/産業の分野で圧倒的優位に立った。それに続き、FPGAベンダーは自動車やコンスーマ機器などの市場をも制覇しようともくろんでいる。そのために鍵となるのは、FPGAそのものの実力もさることながら、開発キットの価格と使いやすさである。本稿では、低価格のFPGA開発キット4製品をピックアップし、その実用性を検証する。

» 2007年02月01日 00時00分 公開
[Ron Wilson,EDN]

拡大し続けるFPGA市場

 1970年代、デジタル回路は集積度が低く消費電力が多いTTL(transistor transistor logic)ICで埋め尽くされていた。しかしその後、米Signetics社のチップ設計者であるRon Cline氏が世界初のPLA(programmable logic array)を開発したことで、状況が変化した。PLAは、AND/ORゲート間にヒューズを入れることで、複数のTTL ICを1つのチップに集積したデバイスである。それ以来、プログラマブルロジックICは進化を続け、今日では通信インフラなどの複雑なアプリケーションに1000万ゲート規模のFPGA(field programmable gate array)が使用されることも珍しくない。しかも、この市場の成長スピードが鈍化することはまったくなさそうだ。米国の市場調査会社In-Stat社によれば、FPGAの市場規模は2005年の18億9500万米ドルから、2010年までには27億5670万米ドルに拡大するという*1)。また同社は、その出荷量の大部分は今後も通信/産業分野向けとなり、2005年の73.8%から2010年には76.8%までに増加すると予測している。

低価格化したFPGAと開発キット

 上述したように通信/産業分野が主な市場であるという背景から、「プログラマブルロジックICは高価格で消費電力が多いので、コンスーマ機器では使いにくい」と考える設計者が多いのは不思議なことではない。しかし、FPGAベンダーは現在、自動車や民生機器市場向けにFPGAを提供しようと努力している。例えば、FPGAベンダーは、常時稼働することになる車載用のアプリケーションやポータブル機器に向けて、消費電力をできるだけ少なく抑えた低ゲート数のデバイスを製造している*2)。また、小規模デバイスのロット購入単価は約1.50米ドルであり、もはや価格はFPGAを使わない理由にはならない。

 しかし、低価格のFPGAの使いやすさ、拡張性はどれほどのものだろうか。筆者らは、こうした観点から、ISP(in system programming)によって繰り返し書き込みが可能なFPGA/CPLD(complex programmable logic device)用の低価格な開発キットとして以下の4つをピックアップした。

  • 米Actel社の「ProASIC Plusスタータキット」
  • 米Altera社の「MAX II開発キット」
  • 米Xilinx社の「CoolRunner-II Design Kit」
  • 米Lattice Semiconductor社の「MachXOスタータ評価ボード

 いずれの開発キットも、価格は数十米ドル〜数百米ドルほどである。ISPに対応したデバイスを選んだ理由は、実際のアプリケーションを想定した試作設計が容易で、フィールドプログラミングが可能という利点があるからだ。以下では、その価格でできること、初心者にとっての使いやすさにという観点から筆者が実際に検証した結果をレポートする。


脚注

※1…"The field-programmable gate array(FPGA): expanding its boundaries," In-Stat, April 2006, www.in-stat.com.

※2…Santarini, Michael, "FPGAs balance lower power, smaller nodes drip by drip," EDN, June 8, 2006, p.58.


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